「買えるのに買わない」若者が消費に積極的になれない理由

2017年09月26日 06:49

画・クールビズは浸透している? 日本気象協会がアンケート調査

就職をして可処分所得が増え、結婚や出産で家族形成や住宅取得を行う以前のタイミングである20代は消費世代として期待されているなかで、最近の若者は消費に活発でないといわれている。

 経済産業省の主導で、「プレミアムフライデー」等の消費を喚起する取り組み推進を目的に官民連携のキャンペーンが行われるなど、「個人消費」の喚起が盛んに行われている。特に就職をして可処分所得が増え、結婚や出産で家族形成や住宅取得を行う以前のタイミングである20代は消費世代として期待されているなかで、最近の若者は消費に活発でないといわれている。 それらの原因について、第一生命経済研究所は「若者の価値観と消費行動に関するアンケート調査」を実施。若者の消費志向の実態について調査を行った。

 まず、現在の若者の「経済的ゆとり」はどうか。「ゆとりがある」が20代前半の学生で高く、特に女性では6割を超え、他の年代と比較しても特筆して経済的なゆとりがない訳ではない事がわかった。では、何故消費に繋がらないのか。将来志向についての意識をみると「ある程度、将来を予測できるような安定生活をしたい」「将来のリスクを考えて現在の行動をとるほうだ」「将来のことを考えると、今、お金を使うこと全般に積極的になれない」といった保守的な姿勢の割合がかなり高いことがわかった。さらに、20代前半の学生の頃から備えにお金を回しておきたいという傾向も顕著だった。

 ライフステージを進むごとに新たな不安や心配は発生するものだが、先々を見据えた時、そのどれもが楽観的でないといういわば絶望のような感覚が若者には常にあるのかもしれない。それに加えてモノからコト、消費の選択肢が莫大に増加した現代では若者世代を中心に消費についても選択の困難性との付き合いながらライフプランを計画することになる。

 20代を中心とする若者においては、将来に向けて堅実な消費行動を心がけるなど消費に対して慎重な姿勢をとりつつも、安心・安全な生活やこだわりのある部分には消費する意識を他の年代と同程度以上に持っているとの側面が浮き彫りとなった。

 経済や国際情勢、極端に言えば常識までを含めて流動性の高い現在の社会情勢に対し、情報の渦中に存在する若者は「将来の見通しの不透明性」を強く感じており、安定志向や将来不安の意識が高いことがわかる。同時にフェイクニュースなど、情報に対する信頼が薄れていくなかで、尚も情報に頼らざるをえない状況は「情報選択の困難性」を生んでいる。これらの事が消費に対する若者の姿勢を慎重にしている要因としてあるようだ。

 さらに、所有欲求やそれらによる差別化をあまり求めないという昨今の若者は、コストをかけずにいかに楽しむか、という点においてこだわりがみられる傾向がある。“インスタ映え”する風景を求め地域の魅力を再発見する姿勢や、動画配信サービスへのアップなど、SNSやシェアリングサービスを活用した“遊び”の更なる開発には大きな興味を傾け、納得したものには大いに消費する傾向がある。今後の事業発展・連携に期待したい。(編集担当:久保田雄城)