近年、日本を始めとする先進国では晩婚・晩産化の傾向にある。男女とも毎年0.1~0.3歳ずつ結婚する年齢が遅れており、2020年には平均初婚年齢は男性が32.3歳、女性が30.7歳になる、との予測もあり、今後さらに晩婚・晩産化は進むと考えられている。晩婚・晩産化がすすむことで、若い年齢で子どもをもつ場合に比べ、ライフプランにおいての育児期が後倒しになり、子育ての時期と、親などの親族に健康・介護問題が生じる時期が重なりやすい事が問題視されている。
第一生命経済研究所では、妻が35歳以上で出産した40~50代既婚男女1,087人に対して「子育てと人生設計に関するアンケート調査」を実施。晩産カップルにおける子育てと親の健康・介護問題の実態について調査を行った。
子どもが生まれて以降に、親の健康・介護問題が生じた人は、男性で47.1%、女性で52.9%。年代別にみた場合、50代になると男女とも経験者が半数を超えた。50代女性では20%弱が現在そのような状況下にあり、過去を含めると経験者は70%に及んでいる。次に、親の健康・介護問題が生じた際の、子どもの学齢をみてみると、内閣府が「ダブルケアを行う者」について行った調査では、小学生以下の子どもがいる時期に親の健康・介護問題が重なった経験がある人は、男性で4人に1人、女性で3人に1人を占め、子育ての期間中に親の健康・介護問題が重なることは、晩産カップル、特に女性にとって喫緊の問題となっている。
次に、子育てと親の健康・介護問題が重なった際の困難や不安について聞いたところ、女性で最も多くあげられたのは「家族の入院・療養・介護に必要な費用」(46.7%)であり、「自分の将来や健康への不安」「自分に万一のことがあった場合の家族の日常生活(いずれも 38.7%)、「家族の収入がなくなったり、少なくなること」(37.3%)などがこれに続いた。一方、男性では「自分に万が一のことがあった場合の家族の生活費」(37.5%)や「自分の収入がなくなったり、少なくなること」(20.8%)をあげた人が女性を大きく上回り、一家の大黒柱としての危機意識が強く感じられた。不安については「特にない」とする回答も一定数あった。
今回の調査によって、晩産カップルにおいてダブルケアの経験がある人は男性で4人に1人、女性で3人に1人を占めることなどから、今後加速するであろう少子高齢化や働き方改革、女性活躍推進と絡めて極めて重要となる社会的課題である事がわかった。一方で、ダブルケアへの認識とは別に、当事者意識の低さが目立った点もあり、晩産カップルでは、50歳前後で子育てをしながら、親の健康・介護問題に向き合う可能性を強く認識する必要がありそうだ。
晩産カップルにおいては、ダブルケアに対する当事者意識を高めることがまず重要といえる。その上で早期から自身の人生設計上のライフイベントの一つとして捉える意識が、具体的なキャリアデザインを描く一歩となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)