ローム、各種安全運転支援システムのためのキーデバイスを搭載したデモ機

2017年10月08日 14:43

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ロームが、「CEATEC JAPAN 2017」で展示した安全運転支援システムを搭載したコクピット型車載デモ機

 2000年にスタートしたCEATECは、国内家電メーカーによる製品・技術の発表会として定着した。が、2008年から出展社の減少がはじまり、2015年に至っては出展社、来場者ともに過去最低を記録した。主催3団体は、その停滞感を打開するために、2016年に企画テーマと位置づけを大胆に方向転換した。

 テーマを日本で最大のCPS/IoT総合展示会「CEATEC JAPAN 2017」として、今回は10月3日から10月6日まで、千葉・幕張メッセで開催された。

 メインテーマのCPS/IoTに加え、各社の展示テーマとして目立ったのが「Automotive4.0」という言葉にインスパイアされた自動車の自動運転に応える展示だ。

 世界の自動車メーカー各社は、2025年を目指して完全自動運転による新たなモビリティの開発を急ピッチで進めている。「Automotive4.0」は、世界的な自動運転車の開発を総称する言葉だが、自動運転システムの確立には、あらゆるセンシングモジュールとそれらを繋ぐ通信制御システムが必要となる。

 京都の電子部品メーカーのロームもフレームタイプのコクピット型車載デモ機で、各種安全運転支援システムのためのキーデバイスを搭載したソリューションを展示した。

 車載デモ機に搭載されたデバイスは多岐にわたる。まず、運転席に座ると目に飛び込んでくるのが、サイドミラーを代行する大型・高精細の液晶パネルなどで構成したインパネセンターパネルだ。

 ロームは、これら液晶パネルの駆動・制御をおこなう機能安全導入チップセットを搭載。チップセットを構成する各ICには、想定される故障モードを相互に検出するための機能が盛り込まれている。液晶ドライバの破壊や剥離、液晶への入力信号などの情報を随時確認、フィードバックし、チップセットとして補完的にパネルの不具合を検出。機能安全を導入したことで、スピードメーターやサイドミラーの液晶パネル化で懸念される重大な事故の未然防止に貢献する。

 また、将来の自動運転化でクルマの眼となる各種センサーやカメラには、ますます高解像度化や高精度化、高速化などが求められ、より複雑な電源供給が必要となる。そこでロームは、カメラモジュール向けに高画質に対応した高効率なワンチップシステム電源を搭載。さらに、カメラから表示パネルまで大容量の画像情報を伝送する高速なインターフェースを実現する画像処理ICを開発した。

 自動運転を見据えた安全運転支援システム構築に必要なセンサーのひとつ、ソナーは、自動駐車システム、アクセルの誤踏込防止システムなどで用途が広がる。現在、ソナーの検出距離は、0.5?5m前後とされるが、ロームはそのスペックを向上させ微弱なセンサー信号を増幅処理する、低ノイズのAnalog Front End ICを開発して、ソナーの検出距離を0.3?7m前後まで向上させたソナーをデモで示した。

 そのほか、今回出展したコックピット型車載デモ機には、対向車からのライトを検知して部分的にライトを消すことで運転者の視界を確保しつつ対向車への配慮が可能な「配光可変ヘッドランプ」(ADB:Adaptive Driving Beam)や、スマートフォンなどで運転者の個人認証を実施できる「スマートエントリー」などが搭載された。

 自動車開発では、電動化、自動運転などの技術開発競争が、これまで以上に重要度を増す。同時に環境や安全という側面でも電装技術が重要となる。今回のロームのコクピット型車載デモ機は、ここ1?2年後ほどの近未来に実用化が期待できる最新技術を搭載したモデルでもある。(編集担当:吉田恒)