電気自動車は従来のガソリンで走る自動車と異なり走行中に排気ガスが出ないことから地球に対して優しい車といわれている。自動車全体のシェアから考えればまだまだガソリン車のほうが圧倒的多数ではあるが、少しずつ普及し始めており世界的に見ても電気自動車への関心は高まっている。そんな電気自動車が今後さらに普及するためには様々な問題点がある。
たとえば技術的な問題である。自動車を電気で動かすためにはそれだけ大型で高性能のバッテリーが必要であり、電気をより効率的にエンジンに伝える技術についてもまだまだ改善の余地はある。また、電気自動車の本体価格についても平均400万円前後と高級車なみの費用が必要となる。加えて安全性能についても気になるところだ。まだ電気自動車に乗っている人が多くはない現状だからこそ、選択については慎重になる人も少なくないだろう。電気自動車が今後もさらに一般家庭の「足」として普及していくためにはこうした問題を解決していく必要がある。
しかし、こうした電気自動車の普及における最大の問題ともいえるのが充電設備である。電気自動車はガソリンのかわりに電気をバッテリーに充電することで動く。現在販売されている電気自動車のバッテリー容量は30kWh、これを家庭用のコンセントからフル充電する場合には最低でも半日以上はかかる。ガソリンスタンドで給油する場合、どんなにかかっても数分だろう。現在のガソリンスタンド並のスピードで充電するためには急速充電設備の整備が必要となるが、それはそれで異なる問題をはらんでいる。
それは、今後さらに電気自動車の普及が進んだ場合、充電設備への供給が追いつくのか、という問題である。電気自動車に乗る人のニーズとして急速充電が不可欠だが、こうした電力需要はかなり深刻な問題となりうる危険性をはらんでいる。ただでさえ夏場の電力需要は問題となっているが、それがさらに加速するということだ。既存の発電所だけでは電気をまかなうことができない可能性すらある。
電気自動車は最先端の自動車だということはよくわかる話である。一定のステータスを感じるという人もいるかもしれない。しかし、それはまだ周囲の人々がガソリン車に乗っているからであって、今後多くの人が電気自動車に乗り換えた場合、電力不足になる可能性を考えている人はどれだけいるだろうか。もっとも、先述の通り電気自動車にはまだ技術的な課題が残されており、将来の技術革新によってはこれらの問題についてもクリアできるかもしれない。それでも今後の電気自動車の普及に向けて様々な可能性を考慮しておくことは無駄なことではないだろう。(編集担当:久保田雄城)