「通勤負担軽減したい」55% 有効性の期待できる「柔軟な働き方」施策とは

2017年11月04日 08:15

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売り手市場を背景に、求職者優位の状況が続くなか、人材不足に悩むすべての企業にとって「優秀な人材を保持するヒント」や「人材獲得競争を有利に運ぶコツ」についての考察を行った。

 売り手市場を背景に、求職者優位の状況が続くなか、優秀な人材の確保・保持や人材獲得競争を勝ち抜く為のノウハウ獲得を模索する企業は多いと予想される。そんななか、働く側の希望する「働き方」や転職に対する考え方を知ることは、企業にとっての課題解決に向け大きなアドバンテージとなり得るだろう。

 人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパンは今年9月、外資系企業、日系グローバル企業の第一線で活躍する1,400人ほどの専門的な技術・知識・経験に加え日本語・英語の2言語を用いて従事する労働者の回答をもとに、「職務動向調査2017」を発行。企業規模・業界を超え人材不足に悩むすべての企業にとって「優秀な人材を保持するヒント」や「人材獲得競争を有利に運ぶコツ」についての考察を行った。

 転職において、給与の増減を視野に入れない人はまずいないだろう。現職に移る際に「給与が上がった」回答者の39%が「転職するつもりがない」と答えた一方で、「変わっていない・下がった」回答者では「転職するつもりがない」は27%と大きく下回っており、他社より高い給与額の提示について、その有効性を示す結果となり、人材獲得競争を有利に運ぶ要因と言える。

 優秀な人材を保持するためには、働きやすい環境づくりが肝と言える。「現職で改善してほしいこと」について聞いたところ、「給与」とほぼ同数の回答者が「社風」を選んだ。社員の定着と「社風」には密接な関係がありそうだ。働きやすさに直結するといえる「社風」だが、企業側としては価値観やビジョン、職務において優先されるポイントなどを整理して売り込むことで、優秀な人材の引き寄せと定着率アップへの効果が期待できそうだ。

 さらに、回答者の71%が「働き方」関連への不満を挙げている。その内容は評価システム、研修制度、労働・残業時間、勤務地など多岐にわたり、企業側としては働き方改革の推進にまだまだ余地がありそうだ。政府などが進める環境整備に先駆けて「週休3日」「在宅勤務」「副業解禁」など柔軟な「働き方」を支援する制度を導入する企業が相次いでいるが、本調査でも、回答者のうち96%が「柔軟な働き方を支援する社内制度があれば利用したい」と回答。働き方関連制度の用途としては、1位が「ワークライフバランスの充実」(78%)、「通勤負担の緩和」(48%)と続き、回答者全体の約半数が「勉強したい」(46%)と回答した。

 一方で、社内制度を「利用しにくい」と感じる労働者が7割以上を占めている事もわかった。理由として「評価・昇進への影響」(34%)「周囲の反発」「生産性の低下」などが挙げられる。制度づくりが進んでも、積極的に利用されないのでは意味がない。評価基準・利用しない従業員との公平性・生産性管理の工夫が必要といえる。

 勤務場所の柔軟化の需要は特に高いといえる。「通勤負担を軽くしたい」(48%)との回答が約半数あり、特に外資系勤務者に顕著にみられた(55%)。2人に1人が在宅勤務・サテライトオフィスなどを求めていることを示し、勤務場所の柔軟化を実現する施策の有効性を裏付けている。デスクワークなど対応可能な業務の一部を在宅勤務で補うことを認めるなどといった施策はテスト導入からでも試す価値があると言える。その他ではフレックスタイム、長期研修休暇などの仕組みも需要が高く有効といえそうだ。(編集担当:久保田雄城)