古川元久国家戦略担当大臣は東京電力が1月17日に発表した企業向けなど自由化部門の電気料金の引き上げ(平均17%の引き上げ)や家庭向けについては3月に値上げ案をまとめる姿勢をみせていることに対し「中小企業への影響が心配」とするとともに「東京電力は立場と影響をしっかり考え直して頂きたい」と自らの立場を見直すべきとの考えを示した。
家庭向けの電気料金引き上げは個人の消費マインドを低下させる新たな要因になりかねず、デフレへの影響も懸念されている。
また、東電は「今回の値上げは燃料費などの増加分に対する見直しであり、損害賠償や廃炉に係る追加費用などは含まれていない」と説明しているが、電力コストの算定のあり方にも国民からは不満が出ていたほか、「値上げが権利だというような発想がある」との批判も出ている。
枝野幸男経済産業大臣は東電の早々の値上げ姿勢に不快感を隠さなかった。こうしたこともふまえ、この日の日曜討論で林芳正自民党政調会長代理は枝野経済産業大臣と東京電力との関係が対立しているように見えるとし「夫婦喧嘩していると子どもが困る」と語った。古川大臣は枝野経産大臣と東電の関係がしっくりいかないのは「東電に責任がある」としたうえで「必要があれば、東電とのコミュニケーションをとっていきたい」とした。
また、今後のエネルギー対策について、古川国家戦略担当大臣は「原発依存度を下げていくというのは既定路線」としたうえで、再生可能エネルギーが育っていくまでのつなぎでは天然ガスが中心になると思うとした。また原発の再稼働について「安全性を何よりも優先しなければならない」と述べた。
東電の自由化部門の値上げは特別高圧の客については1kWhあたり2円58銭、高圧の客については1kWhあたり2円61銭を現行の電力量料金単価に一律に上乗せするというもの。中規模スーパーなど契約種別が高圧・業務用電力の場合(契約電力150kW、月間使用量3万3000kWh)税込で年間103万円のコスト増になる。(編集担当:福角忠夫)