与党は証人喚問、参考人招致で説明責任を

2017年12月02日 10:10

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国有地が地中ゴミを根拠に8億2000万円値引きされ、学校法人森友学園に売却された問題で、財務省は売却予定価格の評価調書を作成していなかった

 国有地が地中ゴミを根拠に8億2000万円値引きされ、学校法人森友学園に売却された問題で、会計検査院の調査と衆院・参院での予算委員会の野党追及で明らかになった事実も多く出てきたが、関係者の証人喚問や参考人招致がなければ疑惑の解明が出来ないことも一層浮き彫りになった。

 会計検査院の調査で値引き根拠のゴミ量は政府説明の最大でも7割、最小では3割しか存在していない可能性が指摘された。トン当たりのごみ処分費用も明確な根拠を示す資料はなかった。

 さらに、予算委員会では売却額がさきにありきで、3mより深いところにほとんどゴミが存在せず、関係者間で口裏合わせが行われた疑いや地中3.8mの深さから見つかった証拠の写真(業者撮影)とする写真に深さ3mと大きく手書きされたプレートが一緒に写っており、この写真に大阪航空局が深さ4mと説明書きしている可能性が高く、野党は写真のプレートの「深さ3m」の表記について、工事業者に確認するように国側に求めてきたが、未だに業者から説明がない、と国側はいつまでに答弁するようにと期限さえ区切っていないのか、無責任は答弁を平気でする。

 業者はもともと、国有地売却価格をめぐって森友学園、近畿財務局、大阪航空局が「口裏合わせ」していたと指摘される音声データで「3メートルより下からはゴミはそんなに出てきていない」。国側が地下9メートルまでゴミが混在しているというストーリー(筋書き)を提起する発言にも「9メートルというのは分からない」と話していたことから、実際の深さである3mを撮影時に手書きしている可能性が高い。だから業者は説明できないのではないか。

 また、財務省は売却予定価格の評価調書を作成していなかった。あわせて、今回の取引では(1)分割払いで良い特約を付け(2)契約金額を非公表にし(3)売り払い前提の定期借地契約を結び(4)瑕疵担保責任を免除する特約をつけるという、過去5年間で、こうした特約はいずれも「森友学園のみ」に行われたことも明らかになった。

 こうした異例づくしの取引は今年2月まで安倍昭恵総理夫人が森友学園小学校名誉校長に就任してきた期間中に行われている。昭恵夫人付き政府職員はこの土地をめぐる相談に財務省に照会もしていた。売却をめぐる問題が政治問題になっているにもかかわらず、昭恵総理夫人は公の場で、この件に関し一切発言していない。

 売却が「適正に行われた」とする政府答弁が実際と違うことが明らかになっている。不透明な値引き経緯と疑惑をはっきりさせるために、政府・与党は昭恵総理夫人、売買契約時に財務省理財局長だった佐川宣寿国税庁長官、前国有財産審理室長の田村嘉啓氏、学園側との直接交渉責任者だった前近畿理財局統括国有財産管理官の池田靖氏、昭恵夫人付き職員だった谷査恵子氏らを証人や参考人として国会に招致することに同意しなければ、説明責任を果たす姿勢があるとはいえない。今は「その段階にまできている」。野党の求めに応じるべき。

 合わせて、問題の土地は国に戻っている。疑惑解明には民間人の手に移す前に、地中ゴミの再調査を実施することが安倍政権への信頼回復に最も必要だ。景気の好循環を今後実現できたとしても、この問題を解明する手段を行使していかなければ、安倍政権と与党への国民の不信感は消えることはないだろう。(編集担当:森高龍二)