対NVIDIAがテーマ、IntelとAMDが協業

2017年12月12日 06:15

画・対NVIDIAがテーマ、IntelとAMDが協業

これまでプロセッサの分野で業界をリードしてきたIntelとAMDがこのたび協業し新たなCPU開発に取り組む。その背景にあるのはNVIDIAの牽制であることから業界の注目を集めている。

 IntelとAMDといえば、ともにPCに組み込まれたCPUの製造メーカーとして有名である。PCにとってCPUは頭脳ともいえるパーツであり、その性能がPCの性能そのものを大きく左右するといっても良いだろう。そして、IntelとAMDは共にCPUメーカーとしては長年のライバルであり、両社が競争することでCPUの性能も向上していったと考えることができる。そんなIntelとAMDだが、ここにきて両社が協業することがわかった。IntelがAMD製のGPUを搭載した新CPUのリリースを発表したのである。

 もともとAMDは、PCの画像処理に必要なGPUの分野で成長してきたメーカーである。AMDの「Radeonシリーズ」は、3Dデータの処理に優れ、ゲームのみならずCADやモデリングなどといった分野でも多く使われている。3Dなどのように計算量の多いデータでもストレスなく動かすためには高速で計算処理ができるGPUの存在が不可欠だが、AMD製のRadeonシリーズは画像処理における必要なスペックを過不足なく備えているということで高い人気がある。そんなAMD製のGPUがIntel製のCPUに組み込まれるというのは、ある意味で歴史的な「事件」といえるかもしれない。
 
 IntelとAMDといえば、先ほども説明したようにプロセッサの分野における競合である。ともにPCのパーツを開発し、業界をリードしてきた存在だ。そのIntelとAMDが手を組んだ背景にあるのは、もうひとつのプロセッサメーカーである「NVIDIA」である。NVIDIAはAMDと同じく画像処理に必要なグラフィックスカードを開発するメーカーであり、こちらもゲーム用PCをはじめ、3D-CADや映像編集など幅広い分野で活用されている。CADメーカーの中には推奨動作環境としてNVIDIA製のグラフィックスカードが搭載されていることを条件としているところもあるほどだ。最近ではNVIDIAでは人工知能の開発なども手がけており、業界内でも存在感は大きい。

 IntelとしてもAMDとしても、このNVIDIAの勢いは侮れない。特にAMDにとっては得意とするジャンルが同じであるということから、少しでも性能の優れた商品を開発してアドバンテージをとっておきたいところである。IntelにとってもAMDと協業をするということは対NVIDIAを考えるうえでメリットがあるといえるだろう。ユーザーにとってはその分高性能なCPUを利用できるチャンスもあるということで、当分はそれぞれのメーカーの動向を見守りたい。(編集担当:久保田雄城)