変わる外食産業、「無休」から「定休日」導入へ

2017年12月19日 06:39

画・変わる外食産業、「無休」から「定休日」導入へ

年中無休や24時間営業が当たり前だった外食産業で、そのビジネスモデルを転換する動きが広がっている。少子化による人員不足や、働く環境の改善がその背景にある要因だ。その分コストを抑え生産性を高めることが期待できるという。

 少子高齢化が進み、どの業態でも人手不足が深刻化している。とりわけ影響が大きいのがレストランなどの外食産業だ。かつて外食産業といえば、「年中無休」「24時間営業」というのがひとつの特徴といわれていた。利用者にとっては「いつでも開いている」という点は大きな利便性であるとともに、外食産業の発展に貢献してきたサービス内容といえるだろう。そんなビジネスモデルを転換する動きがここにきて出てきている。それが、「無休」ではなく「定休日」の導入である。1年365日24時間営業を続けるためには、当然ながらサービスを提供する人員が不可欠である。しかし、少子高齢化によって人員の確保が難しくなることから、年中無休というビジネスモデルを転換する動きが出てきたというわけだ。

 この年中無休や24時間営業を見直す動きとそのものは数年前から議論されていた。その背景にあるものは、従業員の働く環境の改善である。人員が不足している要因となっているのは少子高齢化で絶対数が減っているというだけでなく、職場環境の悪化も関係している。そこで、まずは環境を改善し、働きやすい風土を作り出すことを第一に考える経営者が増えてきた。全国に223店舗を構えるロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングス<8179>も24時間営業の廃止を段階的に進めているが、これはランチタイムなど利用者が多く集まる時間帯により充実したサービスを提供できるようにすることを目的としている。外食産業というものは自動化が難しい部分が多く、サービスを提供するためには「人間の手」が欠かせないことが、従業員の働く環境を改善し生産性を向上させ、それを利用者の充実したサービスへとつなげていく。これが大きなテーマとなっている。

 年中無休で24時間営業をしないということに対して、結果的には利用者側の利便性を損なうという考え方もあるが、現状でも深夜の時間帯はそれほど来客も少なく、コストばかりがかかっている。少子化によって人員が不足しているのと同じ理由で、来客も減っているのだ。また、利用者側からもこうした外食産業のビジネスモデル転換についてはある程度の理解を示しており、社会全体が働き方について見直すようにシフトしつつあるのかもしれない。ただいたずらに営業時間を縮小すれば良いという短絡的な発想というわけではなく、明確な目的のもとビジネスモデルを転換するのであれば、それが良い方向へと向かう可能性は高いといえるだろう。(編集担当:久保田雄城)