厚労省は16年度分の「全国ひとり親世帯等調査結果の概要」を公表。全国の母子世帯の数は123万世帯と推計。母子世帯となった理由は「離婚」が80%。就業状況は就業している82%の内44%が非正規。年収は200万円。
近年、日本社会の格差や貧困化、非正規雇用、生活保護の受給者の増加などが問題視されている。しかし、こうした問題は古くから母子家庭の問題と強くリンクしている。
12月15日、厚生労働省は 2016年度分の「全国ひとり親世帯等調査結果の概要」を公表した。調査結果によれば、母子世帯の推定数は123.2万世帯となっており、前回調査(2011年度)の123.8万世帯から0.6万世帯減少した。一方、父子世帯は、18.7万世帯で前回調査の22.3万世帯より3.6万世帯減少した。
ひとり親世帯になった理由は、母子世帯では「離婚」が79.5%となっており、前回調査の80.8%から1.3ポイント減少している。「死別」は8.0%で前回調査7.5%から0.5ポイント減少している。一方、父子世帯では「離婚」が75.6%で前回調査74.3%から1.3ポイント増加、「死別」が19.0%で、前回調査16.8%2.2ポイント増加している。
就業状況についてみると、母子世帯で81.8%が就業しており、前回調査80.6%より増加している。このうち44.8%が「パート・アルバイト等」の非正規雇用で、前回調査47.4に比べ2.6ポイント減少している。
平均年間収入をみると243万円で前回調査の223万円より20万円増加している。このうち就労による年間収入は1人当たり平均200万円となっており、前回調査の181万円に比べ19万円増加している。一方、父子世帯では就労比率は85.4%で、このうち68.2%が正規職員で、平均年間収入は420万円となっており、母子世帯と父子世帯で大きな格差がある。
「離婚によるひとり親世帯の養育費の状況」については、「取り決めをしている」と回答した者が、母子家庭では42.9%、父子世帯で20.8%となっている。「離婚した父親からの養育費の受給状況」は、「現在も受けている」が 24.3 %で、養育費の額が決まっている世帯での平均月額は 4万3707 円となっている。
「公的制度などの利用状況」についてみると「ハローワーク」が最も多く、母子世帯で68.5%、父子世帯で45.5%となっており、「市区町村福祉関係窓口」では母子世帯で49.9%、父子世帯で33.0%となっている。「子どもの最終進学目標」については、「大学・大学院」とするものが母子家庭で46.1%、父子世帯で41.4%となっている。
なお、本調査は2010年国勢調査の調査区をもとに抽出されたサンプリング調査からの推計値であることに注意を要する。(編集担当:久保田雄城)