シングルマザー家庭の支援にあの金融機関が立ち上がった

2015年11月19日 08:27

画・シングルマザー家庭の支援にあの金融機関が立ち上がった

子供の貧困と高校中退者数が社会問題として注目され始めてからすでに10年近く経っているが、改善の兆しは見えていない。平成23年の若者の意識に関する調査によれば、高校中退者の21.1%が母子家庭出身という結果が出ている。

 子供の貧困と高校中退者数が社会問題として注目され始めてからすでに10年近く経っているが、改善の兆しは見えていない。平成23年の若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査・内閣府)によれば、高校中退者の21.1%が母子家庭出身という結果が出ている。

 このように子供の貧困問題が格差社会の拡大とともに深刻化する中、大手銀行が学生支援に乗り出した。
 
 りそなホールディングス<8308>は経済的問題を抱える学生を支援する一般財団法人「りそな未来財団」の設立を発表した。
 
 これは同社の社会貢献活動の一環として実施されるものだが、この活動プログラムの中には今問題となっているシングルマザーの支援策が組み込まれており、経済的問題を抱える家庭の現実・実際面に切り込む同社の支援活動は注目に値する。

 「りそな未来財団」は新たに掲げられた社会貢献活動「りそな次世代応援プロジェクト」の趣旨に則って設立され、今後、次世代を担う若者の育成を目標とする。

 当該財団の支援プログラムの中核となるのは奨学金制度の用意、シングルマザーの就労支援、同社社員や親子同士の交流イベントの開催、の三つの柱である。

 今回用意された「りそな未来奨学金制度」では両親不在、または母子家庭の高校生が対象となる。進学の意欲はあるが、進学に伴う経済的問題に頭を悩ませている家庭・若者を奨学金支給でバックアップし、若い世代の未来へ先行投資する。

 そしてもう一つ、今回の活動で注目されるポイントはシングルマザーの就労サポートだ。シングルマザーの労働問題は就職活動そのものから始まり、労働環境・条件、収入の面で問題視されることが多い。こうした問題への支援として、同財団では計画的に将来設計を立てるため、キャリア分野の専門家とキャリアアップ計画を作成し、資格取得に必要な費用の支援を準備する。この他、子供の校外での教育となる学習塾等の授業料についても支援の手を伸ばすという。

 シングルマザーを支援している団体はNPO法人などを中心一定数存在し、民間でも母子家庭の母親の雇用に力を入れている企業もある。しかし、今回のりそなの財団のようにシングルマザー家庭の母親の自立・子供の進学までを含めた総合的な将来設計を一つの機関で相談できるところは多くはない。 子供の進学意欲に応える形で親自身の仕事の問題も解決したいと願う母子家庭にとって、今回のようなサポートは力強いものだ。

 ところで母子家庭をはじめとしたひとり親家庭の問題を語る際、第三者機関の支援の一方でひとり親家庭の当事者、特に親自身や学校等の大人の意識の持ち方も重要になる。周りの大人がいかに子供の将来を考えられるか。子供が未成年の場合、その問題意識を真っ先に持つべきなのは親であり、周囲の大人であるのが基本だ。この基本なしに、第三者機関の支援の有効活用は成り立ち得ない点は、今後どのような支援が登場しても留意しておかなければならないだろう。

 りそなの金融機関としての立場からの客観的・専門的なアドバイスと支援が母子家庭にどのような効果を与えるのか。結果が出るであろう数年後の「サクラサク」の吉報を楽しみに待ちたい。(編集担当・久保田雄城)