立憲民主党はブレない限り二大政党の一つになる

2018年01月06日 09:49

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立憲民主党は総選挙で訴えた立ち位置からブレずに、公約実現のために、ひたすら前に進むことに専念することこそ必要だ

 立憲民主党は民進党から、希望の党と3党による統一会派を提案され、希望の党とは理念・政策が異なるとし「3党の統一会派は検討できない」と答えた。当然だ。昨年の総選挙で立憲民主党を選んだ有権者は3党統一会派に反対こそすれ、賛成しないだろう。

 民進党が統一会派結成で呼びかけた文面では「3党が統一会派を結成し、安倍政権に結束して対決していくことは、国民の大きな期待に応えるものであると考える」としている。この認識こそ、民進党が国民の意識からブレている、と言わなければならない。

 自公政権(自公候補)対野党4党(民進・共産・自由・社民)の統一候補による総選挙(小選挙区)の戦いの構図をぶち壊し、愚策を演じたのは民進党の当時の代表と保守補完勢力で小池百合子都知事率いる希望の党だった。

 そして政権交代能力を有する政党になるよう期待され、生まれた政党が「立憲民主党」だった。筆者にはそのようにみえる。今も、他の野党に比べ、高い政党支持率を保っていることが、そのことを裏付けている。

 立憲民主党は総選挙で訴えた立ち位置からブレずに、公約実現のために、ひたすら前に進むことに専念することこそ必要だ。国民はその姿勢にエールを送るだろう。地方組織を作ってほしいという声も地方から上がってくるはずだ。

 国会論戦がどのような展開になるのか、新年度予算審議を通し、野党の論客がどこまで政府与党に迫れるか、注目したい。

 立憲民主党は政治的立ち位置を、このほど発表した「基本政策」で、より明確にしている。主なものを拾った。

 まず、憲法改正への姿勢については(1)立憲主義に基づき権力に歯止めをかけ、国民の権利を守る観点から、憲法及び関連法について議論する。国民にとって真に必要な改定すべき事項について検討するとしている。

 (2)民主主義を担保する「知る権利」については「情報公開制度の運用の透明化、手続の簡素化などにより、国民の知る権利をより強く保障する。行政文書の記録のあり方と定義を見直し、公文書の対象拡大、保存期間(最長30年)満了後の原則公開など、公文書管理を強化する」。森友・加計問題などで浮上した情報管理の在り方を改善するために必要な措置をあげている。また「特定秘密保護法を廃止し、政府による情報の恣意的・不適切な秘匿を防止した上で、適切な情報管理を実現する」とある。

 (3)信頼される司法制度を確立するために取り調べの可視化などを進める。国民のプライバシーを侵害し監視社会につながるおそれの強い『共謀罪』を廃止する、と明記。

 (4)企業団体献金禁止(パーティー券購入含む)と個人献金の促進策を法制化する。所得税・消費税・資産課税など税制全体を抜本的に見直し、税による再分配機能を強化する。

 (5)在日米軍基地問題については、地元の基地負担軽減を進め、日米地位協定の改定を提起する。辺野古移設について再検証し、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す。非核三原則を堅持する。防衛装備品移転三原則を規制強化の方向で見直す、とある。

 (6)多様な個性や価値観が認められ、基本的人権が尊重される「共に生きる社会」を実現する。社会全体ですべての子どもの育ちを支援し、子どもの貧困、特に親から引き継がれる貧困の連鎖を断ち切る。

 (7)年金については「持続可能で、暮らしを下支えする、国民に信頼される年金制度を確立する」。働き方では長時間労働を規制し、過労死ゼロを目指す。誰もが「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が可能な社会を実現する。ワーキングプアをなくし、安心して働き暮らすことのできる賃金を確保。全国どこでも誰でも時給1000円以上になるように最低賃金を引き上げる。

 (8)原発ゼロを一日も早く実現するため、原発ゼロ基本法を制定する。原発の新増設(建設中、計画中を含む)は中止する。原発の40年廃炉原則を徹底し、急迫かつ真の必要性が認められず、国の責任ある避難計画が策定されないままの原発再稼働は認めない。

 (9)ギャンブル依存症を拡大させるなどさまざまな社会コストが生じるカジノ解禁は認めない。農業者戸別所得補償制度を法制化する。

 これら、基本政策からも、自公政権との対峙が明確になっている。民進党は希望の党を選択した有権者と立憲民主党を選択した有権者の意識や目指す社会への期待の違いを認識したうえで、自らの党のあり様を見つめ直す必要があるだろう。総選挙の結果を踏まえれば、3党での統一会派を提起すること自体、政治判断を誤っているとしか思えない。

 一方で、立憲民主党はブレない限り二大政党の一方に育っていくだろう。今年と来年が礎を築く重要な年になることは確かだ。(編集担当:森高龍二)