失業率低下、24年ぶりの低水準で推移

2018年01月10日 06:45

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24年ぶりに失業率が2.7%と低水準で推移している。総務省は雇用情勢が改善しているとの意見だが、その背景にあるのは少子高齢化による労働力人口の減少である。

 総務省の調査によると、2017年11月の完全失業率は2.7%という水準となった。この失業率の数値は、1993年11月以来の24年ぶりの水準で推移しているといわれており、総務省では雇用情勢が改善していると判断している。景気が拡大し、多くの人たちが仕事を求めるようになったことに加えて企業も募集を増やしているということが大きな要因といえるだろう。失業率が低くなっているということはそれだけ失業者が少ないということであり、その意味では雇用情勢が改善しているという総務省の判断は間違っていないといえるかもしれない。

 ただし、この失業率の低下の要因は何も景気の回復による雇用の拡大だけによるものではない。失業率とは、労働力人口に対しての完全失業者の割合であり、最も大きな要因といえるのが労働力人口が減少しているという点が関係している。労働力人口とは、日本における15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者の合計であり、少子高齢化によって日本の人口そのものが減少すれば結果的に労働力人口についても減少する傾向にある。現在、就職活動は「売り手市場」ともいわれており、少ない人材を求めて多くの企業が求人を出しているというのが現状だ。失業率の低下はこうした要因も大きく関係しているといえるだろう。

 失業率が2%まで低下した時期は過去にもあった。それが1980年代後半のいわゆるバブル期である。ただし、この時は成長が続くと予測した企業が雇用を増やしたことが要因であり、この頃は労働力人口も現在とは比較にはならなかった時期である。そもそも働くことが可能な人口そのものが少ない現在とは失業率が低下しているとはいえ雇用情勢が改善しているとは言い難い部分もあるのではないだろうか。もうひとつ失業率の低下として見逃せない情報といえるのが、企業の定着率の低下である。売り手市場の現在では労働条件の悪いところはすぐに見限られて違う職場に移られることも少なくない。企業によっては人材が確保できないケースもあるものの、労働力人口全体で見れば変わりはないということから失業者の低下につながっていると考えられる。
 
 失業率が低下しているものの、その反面企業の賃上げは低調であるというデータも存在する。景気が拡大しているとはいえ、それを実感することができないのは現場で働く人たちへの還元が行われていないためであり、今後は企業にとっても様々な面で雇用というものを見直す必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)