進む学生の「大手サイト離れ」、採用状況に変化

2018年02月12日 19:33

EN_0210_41

ン:売り手市場といわれる学生の就職市場で、就職情報サイトを利用しない動きが出始めている。企業側が学生に直接オファーをかけるといったケースも増えており、就職活動の進め方にも変化が出つつある。

 現在、大学生の就職活動は「売り手市場」といわれている。有効求人倍率は2017年12月の段階で1.59倍であり、かなりの高水準で推移していることからもどの企業も採用活動に積極的になっているということがわかる。そんな学生の就職活動が、ここにきて少し変化の兆しを見せ始めている。

 就職活動では大抵の場合学生側は就職情報サイトを活用することが多い。企業側もこうしたサイトに求人情報を掲載し、互いに情報を集めてマッチングをする、これが今までの就職活動と採用活動の主な内容だった。学生は就職活動サイトにエントリーシートを登録し、企業側はその情報をもとに合否を判定する、そんな流れが変わりつつあるのは、やはり売り手市場であるということが大きく関係している。

 学生をはじめとする応募者側にとって有利な状況ともいえる売り手市場では、少ない人材を企業側が取り合う形となる。そのため、就職情報サイトにエントリーした学生からの応募を待っているというだけでは企業としても優秀な人材を採用することはできなくなっている。そこで企業側の動きとして目立ってきているのが、学生に直接声をかけるという「逆求人型」の採用活動だ。就職情報サイトでも登録者に直接企業がオファーを出すことができる設定もあるものの、サイトを介さずに企業が直接学生に働きかけるケースが増えている。就職情報サイトを通した場合、そこにはどうしてもサイト側に支払う費用などが発生するためであり、それなら直接学生に声をかけたほうがコストの削減にもつながるという考えだ。

 こうした企業側の採用活動が変化してきたことにより、学生側も就職情報サイトを利用しないという選択肢を選ぶことができるようになった。売り手市場である強みから、学生側はある程度応募する企業を選ぶことができるため、いくつものサイトを回って求人情報を確認するよりはずっと効率的な就職活動ができるというわけだ。就職情報サイトについては全く利用されなくなったというわけではなく、あくまでも補助的な利用にとどまるといったケースが多くなっている。

 こうした中で、就職情報サイト側も現在の仕組みを見直す動きが出てきている。これまで就職情報サイトは企業側の採用活動のサポートを担ってきたが、今後はそれだけにとどまらず、より多角的な角度から企業を応募者に紹介する仕組みづくりが求められる。就職情報サイトを利用しなくても採用活動ができる企業が増えてくると、今度はサイト側にそのしわ寄せが来ることは間違いない。(編集担当:久保田雄城)