少子化の影響などで「売り手」有利が続く、新卒採用マーケット。すでに2020年卒業見込みの学生獲得に向けて動き出す会社も多い中、企業にとっても学生にとっても、お互いを見極める為の重要な機会となるのが就活前の就業体験、いわゆる「インターンシップ」だ。
売り手市場の今は、新卒者の9割以上が企業への就職を果たしているといわれている。ところが、その内の約40%が3年以内に離職しているという。これでは採用する側、される側、双方にとって不幸だ。
就活生の誰もがうらやむような大手有名企業に就職できたものの、実際に働き始めると自分には合わなくて、一年足らずで辞めてしまった……なんていうのはよくある話。また、逆に本命じゃなかった第二志望、第三志望の会社でも、中に入ってみると理想的な職場だったということも大いにあり得る。そこで、インターンシップを活用すれば、その企業の仕事内容だけでなく、社内の雰囲気なども事前に体感することが出来るというわけだ。
企業側としても、学歴や面接だけで判断するのではなく、実際に学生の適性を見て選別することができるし、離職のリスクも軽減できる。ただでさえ、人材不足といわれる昨今、売り手市場といわれる今だからこそ、優秀な人材確保のためにインターンシップに力を入れている企業が増えている。
また、これまでインターンは「5日以上」という日数規定が為されていたが、2017年からこれがなくなって、1日からの短縮版インターンが可能となったことで、それを採用する企業も増えている。
例えば、住宅業界で堅調に業績を伸ばしてるアキュラホームも昨年度から1Dayインターンシップを導入している企業のひとつだ。同社は志向別に8コースの1Dayインターンシップを用意し、全コースいくつでも参加できるように門戸を広げている。
「たった1日で会社の何が分かるのか」という声もあるが、アキュラホームでは従来の就業体験や会社説明会的なものではなく、住宅業界について学ぶ座学や家づくり体験ワーク(プランニング)などを取り入れて、学生が住宅業界で働くことに興味を持つような業界全体を活性化させるようなプログラムを組んでいるのが興味深い。1Dayならではの内容で、業界に興味を持つ就活生にも好評のようだ。
インターンシップに熱心なのは企業だけではない。静岡県警も次代を担う警察官の獲得に向けて、積極的にインターンを取り入れている。同県警では、現役の機動隊員に交じって、盾の構え方や救助訓練を体験させたり、刑事部門では「なりきり「刑事」特殊詐欺現場に臨場せよ!」と題して、仮想の事件現場で事情聴取や現場観察の体験、鑑識活動(指紋採取)の体験、似顔絵作成の体験、捜査車両見学等を行う、インターンを導入している。まるで体験型ゲームのようだが、それだけ人材不足が深刻ということなのかもしれない。
近年は転職や離職が珍しくなくなってきたとはいえ、やはり一度就職した会社には一生添い遂げるつもりで働きたいもの。就活生には、様々なインターン制度を上手く活用して、自分と合う企業、業種を見つけてほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)