エン・ジャパンが人事担当者を対象に「メンタルヘルス対策」について調査。メンタル不調者が在籍58%、不調者を把握71%、メンタルヘルス対策を実施59%、ストレスチェックの実施85%、「意義がある」46%。
少子高齢化の影響で生産年齢人口は減少している。求人倍率は求職者の減少で極めて高い値を示し、人手不足が深刻化している。女性、主婦、高齢者、障害者、外国人など、より多くの人が快適に働ける労働環境を作っていくことが日本社会の課題である。長時間労働で心身の調子を崩す者も少なくない。こうした状況を改善することが働き方改革の目的の一つだ。中でも、精神保健対策は組織の生産性を維持する観点から無視できないものである。
人材サービス業のエン・ジャパンが自社サイトを利用している人事担当者697人をサンプルに「メンタルヘルス対策」についてアンケート調査を実施した。調査結果によれば、「近年のメンタル不調者の増減傾向について、どう感じるか」という質問に対して、「増えている」と回答した者が52%と最も多く、「変化はない」が41%、「減っている」3%「わからない」4%の順となっており、「増えている」と感じている企業が過半数に達している。
「現在、社内にメンタル不調者はいるか」という問いに対しては、「いる」が58%、「いない」が42%で、半数以上、6割近くの企業でメンタル不調者の存在を認知している。「従業員のメンタル不調についてどの程度把握しているか」という質問に対しては、「把握している」が11%、「だいたい把握している」が60%で、両者を合わせて71%の企業が「把握している」と答えている。
「メンタルヘルス対策を行っているか」との質問に対しては、「実施している」が59%で6割近くの企業で何らかの対策が実施されている。その中身については、「ストレスチェック等による状況把握」が69%で、「産業医の設置」57%、「社内に相談窓口を設置」49%の3つが多くなっている。
ストレスチェックを実施した経験のある企業の割合をみると85%の企業で少なくとも1回以上ストレスチェックを実施している。実施した企業に「ストレスチェックの制度に意義があるか」と質問した結果、「意義がある」は46%で「意義はない」の23%を上回った。
「ない」と答えた理由としては「自己申告制の為、一番抑止したい、無自覚後の突然発症の予防にならない」、「希望する異動のために制度を利用するケースがある」など、この制度が本来の目的から乖離している部分があるようだ。半数近くの企業が効果を認めているものの、本来の目的を達成するためには、細かな点で制度の改善が必要なようである。(編集担当:久保田雄城)