女性の社会進出が進んでいる国では、それに比例するように「家事をするお父さん」も増えている。北欧諸国では男性の分担率が4割を超え、欧米の主要国はいずれも3割以上。では、日本はどうなのだろうか。
日本の男性の家事負担率は、お世辞にも高いとは言い難い。国際社会調査プログラム(ISSP)が2012年に実施した調査によると、子持ちの有配偶者男性の家事・家族ケア分担率は18.3%と、調査対象国33か国中最下位という不名誉な結果が報告されている。それから7年。日本はどう変わったのか。
これについて、積水ハウスが興味深い調査結果を発表している。同社は以前から「男性の家事参加(パパ家事)」に着目して、様々な調査と研究を続けているが、昨年行ったインターネット調査によると、子供のいる男性のうち、25~34歳(アラ30)男性の家事実施率は50%近くにのぼり、他世代に比べて10ポイント近くも上回っており、日本男性の家事分担も大きく向上していることが分かった。
考えられる理由としては、女性の社会進出が進んで共働き世帯が増えたことで、男性自身の家事分担への意識が向上したことはもちろん、「イクメン」「料理男子」などの造語の流行、テレビや雑誌などのメディアでも、家事や料理を分担している姿を披露している男性有名人が増えていることなども影響しているだろう。
また、食器洗浄機や洗濯乾燥機、全自動掃除機など、男性の担当率の多い「食器洗い」「洗濯」「掃除」の分野で、負担を軽減して使いやすい家電も増えている。さらに積水ハウスをはじめ、各住宅メーカーも、共働き家庭に対する研究を進めており、住宅設備や動線などを改善し、女性はもとより、男性でも家事がやりやすい環境が整いつつあることも大きいのではないだろうか。
ちなみに、前述の積水ハウスの調査ではもう一つ、面白い結果が報告されている。それは、家事積極派の男性の44.9%が「頑張っていることを妻にわかってほしい」という思いを強くもっていることだ。家事をほとんどしない、もしくはまったくしない男性に比べて10%ほど高くなっている。男性に限ったことではないが、頑張るほど承認欲求が強まるのは仕方のないことでもあるだろう。
これまで主婦が口癖のように言っていた「いくら家事を頑張っても、ちっともわかってくれない」という言葉は、近い将来、夫の口癖にあるかもしれない。そうならない為にも、お互いに感謝の気持ちは忘れないようにしたいものだ。(編集担当:松田渡)