マイナンバーシステム、期待されたサービスが運用できず

2018年02月21日 08:14

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マイナンバーを利用して所得確認などができるサービスが不完全な状態であることがわかった。それを受けて健康保険組合側はシステムを運営する厚生労働省に対して利用料の値下げを主張している。

 国民ひとりひとりにつけられているマイナンバーには様々な役割と目的がある。たとえば確定申告などのように税金の計算には個人を識別するマイナンバーを用意することでその手続きを効率的に進めることが可能だ。そんなマイナンバーの活用目的のひとつに所得確認というサービスがあるが、この所得確認についてのサービスが一部利用できなくなっていることがわかった。
 
 このサービスとは、健康保険組合や協会けんぽといった企業に所属する会社員が加入するものに対して、加入者本人やその家族がマイナンバーを利用して所得確認ができるというもの。協会けんぽなどでは、このシステムを利用することで加入者本人のもつ住民票データや家族の収入状況、さらには年金受給状況や税金情報に至るまで様々な情報の確認ができるということで、2017年7月のサービス運用を謳っていた。しかし、実際にはこのサービスがスタートしたのは予定より4ヶ月後の2017年11月となり、そのうえ税金情報については自治体からの情報を参照することができない状態となっている。

 なぜこのような事態になっているのか。健康保険組合や各自治体にはそれぞれ異なるデータベースシステムが既に構築されており、今回問題となっているマイナンバーを利用したシステムでは、これらのデータベースを相互に閲覧し確認できるという点が大きな特徴となっていた。ところが、マイナンバーを利用したこのシステムでは、健康保険組合などが保有する既存のシステムに対して後付けで乗せていることから、既存システムとの互換性の問題などで齟齬が生じている可能性が高い。当然ながら既存のシステムについてもハードウェア的な要因などから定期的な更新が行われており、その更新にもついていく必要があることから、実際に運用に乗せられるまでにはまだまだ時間がかかるとみられている。

 マイナンバーを利用したシステムについてはこのようにまだまだ十分に運用できておらず、システムを管理運営する立場にある厚生労働省は対応に追われている。中でも問題となっているのが、健康保険組合などが支払うシステムの利用料である。健康保険組合側からすれば当初期待されていた運用ができていないという状態で利用料を支払うことは適切な対応ではないとの主張があり、厚生労働省もそれを受けてシステム利用料の値下げに踏み切る形となった。自治体や健康保険組合がもつデータベースを相互に閲覧できるシステムが確立できれば、かなり有用性の高いシステムとなりそうだが、そこまでの道のりは決して平坦なものではなさそうだ。(編集担当:久保田雄城)