安倍政権下でプライバシー、知る権利に危機感

2017年10月16日 06:12

 日本弁護士連合会は「個人が尊重される民主主義社会実現のため、プライバシー権及び知る権利の保障の充実、情報公開の促進を求める決議」を14日までに行った。この中で、マイナンバー制度について「あらゆる個人情報の国家による一元管理を可能とする制度となる」と指摘し「市民監視に利用されることのないよう、制度上・運用上の問題点を明らかにし、廃止または利用範囲の大幅な限定、民間利用の禁止等の対応を行うこと」を提言した。

 プライバシー権や知る権利などに対する決議の背景には、インターネット、監視カメラ、GPS装置など大量の情報を集積する技術が飛躍的に進歩しているうえ、マイナンバー(共通番号)制度が創設され、テロ等準備罪(共謀罪)も安倍政権下で新設されたことにより、市民に対する監視が強化される懸念が指摘されていることなどがある。

 また情報公開では特定秘密の保護に関する法律が施行され、政府が恣意的に情報を隠匿する懸念が高まる中、PKO派遣部隊の日報問題や学校法人加計学園獣医学部設置認可の過程文書が不存在扱いにされ、学校法人森友学園への国有地の8億円値引き売却経緯に関する文書が行政機関の判断だけで短期間に廃棄されるなど「情報公開と国民の知る権利を軽視する運用が政府によってなされている」との認識から、決議し、懸念を払しょくする担保策として、政府がとるべきことを提言している。

 まずプライバシー権保障の充実のためには、公権力が自ら又は民間企業を利用して、あらゆる人々のインターネット上のデータを網羅的に収集・検索する情報監視を禁止すること。情報公開の促進と権力監視の仕組み強化のために、公的情報の公開、保存及び取得に関し、基本理念と基本事項を定める情報自由基本法(仮称)を制定することなどを求めている。

 このほか、プライバシー権の保障には、通信傍受の適正な実施について独立した第三者機関による監督を制度化すること、組織犯罪処罰法改正法によって多数新設された、いわゆる「共謀罪」の規定を削除すること、公安警察や自衛隊情報保全隊などの情報機関の監視権限とその行使について法律により厳格な制限を定め、独立した第三者機関による監督を制度化することが必要とした。

 一方、知る権利や権力監視の仕組み強化では、本来市民が入手すべき情報を行政機関が恣意的に隠匿できない情報公開制度を確立することや公文書等の管理に関する法律上、電子データが行政文書とされていることを踏まえて、全ての電子データを長期間保存することとし、行政文書の恣意的な廃棄等が行われないよう監視するために独立性の強い第三者機関を設けること、秘密保護法の廃止を含めた抜本的見直しを行うことをあげた。(編集担当:森高龍二)