国内のファブレス企業とは

2012年02月06日 11:00

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飲料メーカーではダイドードリンコが、1975年の創業以来、ファブレス形態での経営を実施。企画・開発や地域に密着した自販機網の拡充に資金やマンパワーを集中させたことで、同業他社にはない自動販売機や商品を次々に開発している。

自社工場を持たず製造機能を外部の企業に委託し、製品設計やデザインなどの高付加価値分野に特化したビジネスモデルを採用するファブレス形態。小資本でありながら企画力や設計力・営業力などを持つ企業が、工場や製造ラインといった多大なコストをかけることなく市場に参入する場合などに取られることの多いビジネスモデルである。

海外ではこのビジネスモデルを採用しているベンチャー企業が多く、日進月歩で技術が向上するため、工場を建設しても減価償却する前に新たなラインの製造に迫られるといった事情を抱える半導体市場に多くみられた。ファブレスを選択するメリットとしては、先に記した設備投資や設備維持の負担・リスクを回避できることに加え、設計・開発・販売などに注力できること、需要に応じた生産量の調節が容易でありスピーディーな経営戦略がとれることなどが挙げられる。このメリットを享受するために、国内でも食品や玩具、衣料などあらゆる分野の企業が採用している。

日本では玩具・ゲームメーカーでは任天堂もそのひとつ。爆発的ヒットをしたニンテンドーDSもメガチップスなどの製品を用いており、発売当時その操作方法が斬新に感じられたWiiも、各部品は全て汎用性のあるもので組み立てられており、独自技術というわけではない。しかし、ファブレス化によって得た資金や時間などのおかげで、ヒットを量産する企画を生みだすことができ、高品質の商品を世に送り出し、業界に確固たる地位が築けているともいえる。また、家電メーカーの船井電機は、かつては国内で自社生産を行っていたものの、低価格化の波に合わせ生産子会社を整理しファブレス化を進めた。その結果、日本では知名度が高くないものの、北米での液晶テレビはシェアがトップクラスになるなど、ファブレス化によるコスト減や、販売チャネルとの関係強化が功を奏している。

さらに、飲料メーカーでは収益性の高い缶コーヒーが全体売上の50%以上を占めているダイドードリンコが1975年の創業以来、ファブレス形態での経営を行っている。企画・開発や地域に密着した自販機網の拡充に資金やマンパワーを集中させたことで、同業他社にはない自動販売機や製品を次々に開発するとともに、質の高い自販機オペレーション体制を構築。また売上の約90%以上を販売数・価格の安定した自動販売機での売上が占めるといった、業界では類を見ないビジネスモデルで、安定した財務体制を維持している。

設備投資や設備維持等の固定費減が、価格や品質によって還元されることは、企業にとっても消費者にとっても喜ばしいことである。さらに、状況に応じて委託先を臨機応変に変えることで生産コストの削減が図れ、全国各地に委託先を持つことで、震災などに対するリスクヘッジにもなる。今後、ファブレスというビジネスモデルの有益性がさらに評価されるかもしれない。