広告の媒体は時代と共に変化する。現在、広告媒体の中で主流となっているのがインターネットの広告だ。それを裏付けるかのようなデータとして、広告大手の電通がインターネットを利用した広告が15.2%増加の1兆5094億円だったことを発表した。2017年の日本の総広告費は6兆3907億円であり、これは6年連続の増加となっている。この内訳でみると、テレビの広告は0.9%減少の1兆9478億円となっており、このことからもインターネットによる広告が広告費全体の底上げに大きく関係していることがわかる。
テレビの広告と共に減少傾向にあるのが新聞や雑誌を利用した広告だ。電通によると新聞広告は前年比5.2%減少の5147億円、雑誌広告は前年比9.0%減少の2023億円という結果となった。新聞や雑誌などのように紙媒体を利用した広告については全体的に減少傾向にあるものの、広告費全体が増加しているということはその分インターネットによる広告が増えているということになる。
インターネットによる広告がスタートしたのは1996年のことだが、この当時はまだ広告といえばテレビのCMや新聞によるものが主流であり、インターネットに広告を掲載するといった企業はかなり少数だった。しかし、その後インターネットを利用した広告はその存在感を高めていき2004年にはラジオ広告費、2006年には雑誌広告費を上回る結果となった。さらに新聞広告については2012年にインターネットの広告費が上回っている。その背景にあるのはスマートフォンの普及によるインターネット人口の増加である。誰もが手軽にインターネットに接続できるようになった時代、広告というものについてもインターネットは欠かせない媒体となっている。
そんな中、変わったところから存在感を示しつつあるのがラジオ広告である。電通の発表によるとラジオ広告については前年比0.9%増加の1290億円という広告費となった。ラジオ広告費の増加は2年連続であり、その背景にあるのがスマートスピーカーの普及にあるという。スマートスピーカーは、音楽を聞くだけでなく家電製品の操作もできるという多機能スピーカーであり、ニュースの受信やネット配信されるラジオの受信もできることからラジオの聴取者が増える可能性がある。ラジオの広告費が増えているのも、こうした利用者増を期待しているという要因もあるといえるだろう。このように広告は時代とともに様々な変化を見せており、インターネット広告についても今後さらに変化していく可能性がある。(編集担当:久保田雄城)