矢野経済研究所では、国内のインターネット広告市場の調査を実施した。
インターネット広告国内市場は、スマートフォン向けの広告出稿の拡大を背景に、インフィード広告や動画広告が拡大している。これに加え、SEM(検索エンジンマーケティング)やアドネットワーク、DSP(Demand-Side Platform)、SSP(Supply-Side Platform)の利用も拡大している。こうしたことから、2016年度のインターネット広告国内市場規模は前年度比 116.0%の1兆 956億1,000万円を見込む。
今後もインフィード広告や動画広告の堅調な拡大に加え、検索連動型広告やアドネットワーク、DSP、SSPの利用の拡大を背景に、2017年度には1兆2,600億円、2020年度には 1兆8,500億円まで拡大すると予測する。
インターネット広告国内市場に占めるスマートフォン向け広告の市場構成比は2013年度には2割強であったが、2016年度には約51%とPCブラウザ向け広告とほぼ同等まで拡大する見通しである。この背景には、スマートフォン普及によるユーザー(利用者)の増加や利用時間の拡大に伴い、広告出稿の主要媒体がスマートフォンに移行していることが挙げられる。今後は、スマートフォン広告の中でも、アプリケーション(アプリ)内における広告出稿が増加することが予測される。
インターネットユーザーの閲覧媒体がスマートフォンに移行していることなどから、インフィード広告出稿が拡大している。以前は、大手ポータルサイト(主に PC ブラウザ)が中心であったが、最近では、ソーシャルメディアやニュースアプリなどの閲覧時間が拡大している。そのため、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やアプリなど、トラフィック(データ通信量や接続数など)が集まる媒体、特にスマートフォンに掲載される広告出稿が好調で、なかでもインフィード広告が拡大している。
モバイル端末の通信環境や通信速度の向上を背景に動画視聴者が増え、動画閲覧時間も伸びていることから、各企業ともに動画広告に注力する動きが顕著である。こうしたなか、インターネット広告国内市場における2016年度の動画広告市場規模は前年度比190.8%の866億3,000万円の見込で、今後も大幅に拡大すると予測する。
国内大手企業(ナショナルクライアント)はテレビCMから動画広告に注力してきており、特に、ソーシャルメディアを中心としたインフィード広告分野における動画広告が拡大している。動画広告は対象となる商品やサービスを訴求する運用型広告(課金式広告)として活用される傾向にあるが、企業のブランディング目的での動画広告の利活用が進んでいくことを背景に、急速に拡大していくとみる。
一方で、ユーザー側に配慮した広告配信も重要になる。広告閲覧者(ユーザー)にマイナスイメージを持たれないように、ユーザーの動画閲覧環境下において適切なタイミングやコンテンツなどの広告配信に取組んでいく必要がある。今後もユーザーの個別ニーズに配慮した広告施策が求められるものと考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)