三井物産がロシアで合併会社設立

2012年02月01日 11:00

 ロシアは世界第二位の鉄道網を誇り鉄道による貨物輸送シェアが85%(パイプラインを除く)と高く世界有数の鉄道大国である一方、経済発展に伴う物流増加に対する貨車不足がボトルネックとなっている。

 そのような中、三井物産は、ロシアの複合企業アイシーティーグループ(以下「ICT」)と鉄道車両(貨車)オペレーティングリース事業に参画する。三井物産とICTは2011年12月29日に新会社設立の合弁契約書を締結しており、2012年3月末の合弁会社設立を目指す。合弁会社の事業開始当初の資産規模は1億ドル(約80億円)を見込んでいるが、将来的には市況と事業性を検証しながら、事業規模を5億ドル(約400億円)まで拡大することを検討していくという。

 三井物産は、1996年に米国で貨車リース事業に参入、同事業で培ったリースや保守・運行管理等の関連サービス運営のノウハウを基に、2004年には何れも本邦商社では初めて欧州機関車リース事業、ブラジル貨車リース事業への横展開を果たした。現在、三地域合計で機関車270両、貨車17,000両規模のリース事業を展開。ロシアへの進出は米欧先進リース市場で蓄積した経験を基に新興国市場を開拓する方針に沿ったものだという

 ICTは、ロシア・CIS地域で貴金属資源、金融、重工業(鉄道含む)、エンジニアリング等の成長産業分野に積極的に投資を行っており、鉄道分野では最新技術に基づく貨車製造工場を立ち上げるなど鉄道関連事業の拡大に注力する方針。三井物産は本件を契機として成長余地の高いロシアにおいてICTグループとの関係強化を通じた多様なインフラ事業開発や、大量効率輸送や環境負荷の少ない鉄道輸送の利点を生かした物流インフラ事業の開発にも総合力を発揮。その他、ロシアに進出する日系自動車メーカーの完成車輸送等の分野での取り組みも追求する。

 なお、三井物産とICTは合弁会社を通じ、特に高い需要が見込まれる石炭・鉄鉱石等の資源輸送分野で貨車リース事業を展開し輸送力増強に貢献。事業開始は2012年4月を目指す。