「テクノ・フロンティア2018」のローム・ブースでデモ展示を実施した、メインボードと機能拡張ボード、ドライバーICボード、USB接続できるパソコンだけでモータードライバーの評価測定ができるツール「RAGU」
京都の電子機器メーカー、ローム<6963>が、オシロスコープや各種電源を用いずにステッピングモーターシステムを簡単に評価測定できるツール「RAGU」を、幕張メッセで開催された「TECHNO FRONTIER(テクノ・フロンティア)2018」で展示・発表した。
モータードライバーは、モーターの駆動を制御するためのICであり、モーターに流す電流の量と方向、時間やタイミングをコントロールする機能がある。モーターにはDCモーターやACモーター、ステッピングモーター、ボイスコイルモーターなどの種類があり、家電などの民生機器や産業機器、自動車など、アプリケーション用途に応じて適したモーターが使用される。このさまざまな機器の動力となるモーターが消費する電力は、世界の電力消費の半分を占めていると言われ、モーターの精密なコントロールは省エネにも直結するため、モーターシステム全体の性能を正確に測定する必要性が高まっている。
ロームは、自社のモータードライバーICの販売促進の一環として、デジタル評価ツール「RAGU」を開発したところ、取引先から「このツールを使いたい」との要望が多いことから、製品化して販売することにしたという。
これまで、モータードライバーICとモーターを組み合わせたシステムの評価測定の実施には、出力波形などを調べるためのオシロスコープやファンクションジェネレーター、各種電源などを正確に組み合わせて接続する必要があった。数百万円レベルのコストに加え、セッティングなど、かなり面倒な作業となっていた。
ロームが発表した「RAGU」は、そうした手間をできるだけ簡略化し、低コストでシステムの評価実施を実現することを目指したツールだ。メインボードと機能拡張ボード、ドライバーICボード、USB接続できるパソコンだけで評価測定ができるシステムで、実験スペースをコンパクトに出来て、コスト面だけでなく作業の効率化にも大きく貢献する。現在の評価測定項目は、出力電圧波形モニター、出力電力波形モニター、モーター駆動時のジャンクション温度モニター、波形チャプター機能などとなっている。
「RAGU」製品化は今夏を予定している。また、今回のイベントで展示されたシステムは、プリンターの駆動などに多く使われているステッピングモーターシステム向けだが、将来的には多彩なモーターシステムに対応させて、ユーザーを支援していくという。(編集担当:吉田恒)