3月30日に発表された有効求人倍率の直近データは2月分で1.51倍という高水準だ。中でも建設躯体工事の職業は10.46倍、警備員など保安の職業では8.15倍にもなっている。その他、サービスの職業も3.57倍と高水準で、この内接客・給士の職業は4.21倍の高さだ。
この求人倍率の高さは新規求人数の対前月比が0.9%であるのに対し、新規求職者数のそれはマイナス7.1%という数字からもわかるように、景気回復を受けての求人数の増加よりも少子高齢化による求職者の減少が大きく影響しているのがわかる。
日本産業は全体的に人手不足の状況にあるが、この人手不足をシニアの積極採用でカバーしようとする企業が増えてきているようだ。求人検索エンジン「スタンバイ」が同サイトに掲載されているパート・アルバイトの求人情報231万件をもとに「シニアパート・アルバイト積極採用企業ランキング(2018年2月)」を作成し発表した。
ランキングを見ると、東日本でシニアを積極的に求人している企業は、1位がオリエンタル警備、4位はサンエス警備保障、9位にシンテイ警備、13位がMSKと15位までに警備会社が4社ランクインしている。2016年9月に調査した前回の結果では警備会社の東西上位15位までのランクインは2社だったという。これは厚労省の求人倍率のデータとも整合し、東京五輪関係の工事にラストスパートがかけられた昨年より警備関係の人手不足が深刻化したためと想像できる。
またスーパーを運営する5社がランクインしており、業務内容は調理加工、レジ打ち、品出しなどだ。東日本で2位にランクされたイトーヨーカ堂は、昨年パート従業員の定年を65歳から70歳に延長している。他のスーパーでも採用年齢を65歳から70歳に引き上げたところもある。
人手不足が深刻な業種と言えば飲食業だが、飲食店を運営する企業は8社がランクインしており、業務はキッチン、接客、清掃、食品製造・加工などだ。すかいらーくは15年から定年を65歳まで延長し、全従業員について70歳までの再雇用制度を新設した。この他、コンビニ、量販店、教育関係、家事代行サービスなどでシニア採用の企業が増えてきているようだ。
シニアを積極採用する求人の多くは「1日3時間」「週3回」などシニアでも無理のない勤務スタイルを採用しており、時間に余裕のあるシニアで学生や主婦を確保しにくい時間帯などを補っている様子もうかがえる。(編集担当:久保田雄城)