病院の耐震化率、72.9%。耐震改修状況は順調に推移

2018年04月23日 07:03

画・病院の耐震化率、72.9%。耐震改修状況は順調に推移

厚労省が2017年における病院の耐震改修状況調査の結果を公表。病院の耐震化率は72.9%。災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率は89.4%。国土強靱化の目標、18年度までに耐震化率89.0%を達成。

 2015年6月16日に国土強靱化推進本部において決定された国土強靱化アクションプラン2015において、政府は本年度までに災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率を89%とする目標を定めている。これに関連し厚生労働省は17日、17年度における「病院の耐震改修状況調査の結果」を公表した。

 調査結果によれば、震度6強以上を想定した耐震基準を満たしている病院の割合を示す耐震化率は72.9%で前年の71.5%より1.4ポイント増加した。このうち、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院及び救命救急センターの 耐震化率は89.4%で前年の87.6%と比べ1.8ポイント増加し、本年度の目標89.0%を既に超えている。厚労省では本年度中に90.1%になる見込みを示している。

 この調査結果は、昨年10月に全国都道府県に対して調査の依頼を行い、各都道府県からの報告を基に取りまとめられたものだ。回答のあった病院数は8411件で、その内「全ての建物に耐震性のある病院数」は6130件、全体の中の構成比である耐震化率は72.9%となる。「全ての建物に耐震性がない病院数」は141件存在し、全体の1.7%を占める。13年に耐震改修促進法が改正され耐震診断が義務づけられたが、この耐震診断を実施していない「建物の耐震性が不明である病院」が1466件、全体の17.4%も存在する。

 病院のうち災害拠点病院及び救命救急センターについてはアクションプラン2015の目標値を既に達成しており順調に推移しているといえる。しかし一般病院も含めた病院全体では震度6強以上の耐震基準を満たしている病院は7割程度にとどまっている。

 一般病院の8割は民間病院であり耐震診断や耐震改修を自らのコストとして負担しなければならない。耐震診断を実施し耐震不足が指摘されても耐震改修を行う資金を捻出できるか疑問である。耐震診断や改修のために病院を閉鎖すればそれだけ収入が減ってしまい、病院の耐震改修を行おうとするモチベーションは低くなるとも言われる。補助金も存在するが建築物に対してのみで営業全体について補足しているわけではない。病院の安全性は誰がコスト負担すべきかを議論し、適切な支援策を講じることが必要だ。(編集担当:久保田雄城)