疑惑解明へ自公は国民に対して与党責任を果たせ

2018年05月13日 12:55

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安倍内閣のこれまでの成果を全否定するつもりはないが、この疑惑3点は民主主義の根本を揺るがす深刻な問題だ

 加計学園疑惑、森友学園問題、自衛隊日報問題。自公与党には加計、森友、日報問題に対する国民の疑念に答える強い姿勢が必要だ。国民は官僚に対してもこの国の官僚は大丈夫なのか。不信感を持ち始めた。動かぬ証拠を突き付けなければ「記憶」は戻らない。虚偽答弁に『偽証罪』が問われる証人喚問で国会招致するほか手立てがない状況は由々しき事態だ。

 加えて、新憲法下で、これ程に行政への国民の信頼をズタズタにした内閣が、かつて存在しただろうか。異常としか言いようがない。加計・森友ともに総理、総理夫人に近しいところにあるからだ。

 安倍内閣のこれまでの成果を全否定するつもりはないが、この疑惑3点は民主主義の根本を揺るがす深刻な問題だ。徹底解明しない限り、国会審議さえ虚偽情報に基づいた議論ではないのか、信用できなくなるだろう。これだけは避けなければならない。自公の議員は与党として、その責任を自覚するべき。

 国家戦略特区制度を活用した加計学園・岡山理科大獣医学部新設に、当初から加計ありきでなかったかとの疑惑に関し、2015年4月2日に総理官邸で柳瀬唯夫総理秘書官(当時)が、加計学園幹部、愛媛県職員、今治市職員と面会していたのではないか、との事実関係について、10日の国会で柳瀬氏は加計学園関係者と会っていたことを認める一方「10人近くの随行者の中に(愛媛県職員が)いたのかもしれない」と愛媛県職員については、自身の認識ははっきりいない答弁を行った。

 柳瀬氏は「あまりお話にならなかった方は記憶からだんだん抜けていく」などとも答弁している。愛媛県の中村時広知事は11日、「県職員3人はメインテーブルに柳瀬氏側の3人と向かい合って座った。名刺も交換し、県の立場を発言している」と反論。

 県職員が官邸で柳瀬氏に面会した際に受け取った「内閣総理大臣秘書官、柳瀬唯夫」氏の名刺(県職員が面会記録として押したとみられる「27.4.-2」の赤色のハンコによる日付入り)を公開した。

 筆者も重要な案件で取材相手と名刺交換させていただいた時、相手の名刺の裏に日時、時には場所も記入する。柳瀬氏との面会が愛媛県職員にとって重要な意味を持っていることを示していると理解できる。

 また中村知事は柳瀬氏に対し職員が官邸で説明した内容のメモも公表した。「今治新都市への獣医師養成系大学の設置の必要性」や「愛媛県と今治市による獣医学部新設にかかる規制緩和のこれまでの取組」など、設置に向けた県の取組について「柳瀬首相秘書官説明用」とのタイトルがついている。

 この報道にも総理秘書官を務める優秀な官僚が、当時の記憶を思い出せないのだろうか。次回、国会で再度、記憶を呼び起こしていただきたい。

 加えて2015年4月2日を前後して柳瀬氏は、4月2日の面会を含め3回官邸で加計学園関係者と会っていることを認めたが、官邸で面会したことや面会の内容を、一切、総理に伝えていないと答えた。総理秘書官が面会や面会内容を総理に伝えないなど全く理解できない話。

 柳瀬氏と面会した愛媛県職員、今治市職員の参考人招致、加計学園理事長の加計孝太郎氏の参考人招致、柳瀬氏の今度は証人喚問で真相に近づくことが必要。疑惑解明へ、与党には国民に対し与党としての責任を果たすことが強く求められている。(編集担当:森高龍二)