世界のスマホ市場、初の前年割れ

2018年05月21日 06:44

画・世界のスマホ市場、初の前年割れ

世界のスマホの出荷台数が初めて前年度の実績を下回った。これを受けてメーカー側もスマホというものに対する戦略を見直す必要に迫られている。

 今やスマホは日常生活において不可欠の存在だ。多くの人が外出時にはスマホを手に町に出る。時には歩きスマホというトラブルの原因となるような行為もあるものの、ほとんどの人やスマホなしの生活はありえないだろう。それだけ多くの人に普及しているスマホだが、ここにきて少し事情が変わりつつある。それは、世界的にスマホの出荷台数が初めて前年度の実績を下回ったというデータだ。これまでスマホは爆発的な勢いで普及が進んでいたが、ここにきて突然の失速となった。

 2017年度の世界のスマホ出荷台数は、アメリカの調査会社によると14億6200万台だったという。これでもかなりの出荷台数といえるかもしれない実績だが、前年と比較した場合、この出荷台数は0.5%少ない結果となっている。初めて世の中にiPhoneが発売された2007年以降、毎年スマホの出荷台数は増加の一途をたどっていたが、前年度の実績を初めて下回ることとなった。今でも「iPhone」といえばスマホの代名詞であり、新たな機種が出るたびに話題となる人気の商品だ。しかし、昨年に発売されたiPhoneの最新機種「iPhoneX」は2018年に生産が停止されるとの見方もあり、スマホ市場の先行きは不透明な状態となっている。

 なぜ世界的にみた場合のスマホの出荷台数が減少しているのか。それについては様々な見方がある。たとえば既にスマホはある程度の人達に行き渡った後であり、普及が頭打ちになっているというものだ。スマホというものが世の中に出て以降、日進月歩で技術は進歩していき、様々な新機能が搭載されてきた。しかし、どのメーカーも新たなスマホに搭載する機能やデザインといった部分での差別化が難しくなりつつある。もちろん機種変更などで今まで使っていたスマホを交換するという人も相当数いるため、出荷台数そのものが大幅に下落することは今後も無いだろうとの見方が強い。それでも機種変更をするまでのスパンも長期化しており、一度持った機種を長い期間使い続けるという人も少なくない。

 こうした中で、メーカー側も様々な方策を考える必要に迫られている。たとえばスマホ本体に搭載する機能だけでなく、付加価値を高める工夫や、あるいはスマホの機能を敢えて抑えてその分低価格で販売するといった戦略だ。事実、これらの方策によって出荷台数を伸ばしているというメーカーも多い。今後も様々な進化を続けていくであろうスマホだが、そのスマホは間違いなく岐路に立たされているといえるだろう。(編集担当:久保田雄城)