福岡「カワイイ区」見直し、ミス◯◯との違いは?

2013年02月18日 08:25

 福岡市がPRのために新設した仮想行政区「カワイイ区」に対し、市民から「男女差別を助長する」などの苦情が寄せられている。

 「カワイイ区」は昨年8月、福岡市の8番目の区として誕生。初代区長にはAKB48の篠田麻里子が就任した。ホームページ上で無料の区民登録をすれば、メールマガジンやクーポンなどが発行される。昨年11月には「区民」の登録が4万人を超えたという。

 だが昨年10月には、市が「カワイイ区」のサイト構築や広報事業などを電通に987万円で委託し、その電通の紹介業者に「特別住民票」の発送を公募なしで任せていたことなどが判明。一部で批判が高まっていた。
 
 今年に入って以降は一部の市民から「女性はかわいくあるべきだといった意識を助長する」「女子はカワイイが望ましいとのメッセージを税金を使って発信することは許されない」といった苦情が寄せられ、市男女共同参画審議会は事業の見直しを答申する方針を固めたという。

 そもそも地方自治体が街の魅力をPRする際、若い女性タレントなどを起用する例は珍しくない。同じ九州でいえばタレントのスザンヌが出身地である熊本県の「宣伝部長」として活躍しているし、AKB48の柏木由紀は鹿児島県のCMに起用されている。芸能人でなくとも「ミス◯◯」などの名称で若い女性が自治体のPRに使われるのはよくあることである。
 
 にもかかわらず篠田麻里子の「カワイイ区」だけが批判されるのは、若くて容姿に優れた女性の起用に加えて、「福岡の女性は美しくカワイイと言われます」「福岡の女子はカワイくなることにとても熱心なのです」といったメッセージとを組み合わせてしまったためだろう。

 最近では「カワイイ」という単語はクールジャパンの代名詞のように使われ、日本的で個性的なキャラクターやコンテンツを形容する言葉になっている。とはいえ女性の容姿が「可愛らしい」といった男性目線で使われているのもまた事実。批判が出るのも仕方がないかもしれない。