電機メーカー大手の業績、明暗分かれる

2018年05月29日 06:36

画・電機メーカー大手の業績、明暗分かれる

大手電機メーカー8社のうち4社が減益の結果となった。減益については様々な要因があり、増収となった企業についても今後の戦略が重要となる。

 大手電機メーカー8社のうち、2019年の3月期の業績は4社が減益となった。8社のうち東芝<6502>は巨額の損失を出したためにメモリ事業を売却、現在立て直し中である。減益となる4社はソニー<6758>、三菱電機<6503>、富士通<6702>、NEC<6701>だ。日本といえば電子立国としても世界的に知られているが、その日本の誇る電機メーカーで変化が起きつつある。

 減益となる4社では今何が起こっているのか。まずソニーはスマートフォン事業の業績が悪化していることが減益の要因となった。ゲームや音楽などの分野は好調を維持しているものの、スマートフォン事業は前年度比で354億円の減収となり減益の大きな要因となっている。三菱電機ではこれまで業績の柱となっていたFA関連事業の足踏み状態が続いている。もっとも、FA事業に関してはこれまでが良すぎたとの見方もあり、今後の戦略次第では好転する可能性も高い。富士通は採算の悪化した携帯端末事業を売却したが、2017年の11月にもパソコン事業から撤退しており、こうした不採算事業からの撤退・整理が前年度比からの減益に関係しているといえるだろう。NECは、業績の悪化を受けて国内で3000人超のリストラを断行、利益体質への改善を図っている。

 これら4社と異なり増益を見込んでいるのが日立<6501>、シャープ<6753>、パナソニック<6752>の3社である。これらの3社に共通しているのが、不採算事業を整理することによる固定費の削減、そして主力事業の販売強化にある。たとえばシャープの場合は白物家電などの分野が海外市場で順調な推移を見せており、これも不採算事業を整理したことによる新たな戦略といえるだろう。パナソニックも車載機器やセンサーなどといった電子部品の分野で業績を伸ばしている。日立は通信インフラやITサービス関連事業が好調だったことから今回の増益につながった。

 このように、大手電機メーカーの業績は明暗が大きく分かれることとなった。とはいえ、増益を見込んでいる3社については決して今後も楽観視できるという状態ではない。大手の電機メーカーは海外市場での業績も大きく関係しているが、原油価格の高騰によるコスト増加はそのまま利益の低下にもつながるためだ。その意味では、どのメーカーについてもいかにコストを抑えて業績を高めることができる事業は何かということを見極めることが必要となる。日本経済を支えてきた日本の電機市場は現在正念場を迎えていると言って良いだろう。(編集担当:久保田雄城)