テレビ市場では4Kテレビの低価格化が進み、昨年発売された8Kテレビの効果もあり市場が急拡大。調査会社によると2020年には国内需要500万台超を予想しているが、問題も見えてくる。
富士キメラ総研の調査によると、需要低迷が続いていた国内テレビ市場が急回復。その理由として4Kテレビの製品数増加と低価格化が大きく寄与、また昨年販売が開始された8Kテレビによる効果も大きいとしている。これに加え総務省が2018年末の4K・8K本放送に向けて昨年NHKおよび民放の10事業社を正式に認定、テレビのCMも流れて消費者の認知度も高まっている。国内需要だが、16年に100万台となった4K・8K対応TV、17年には250万台が見込まれ、20年には500万台を超え。2025年には820万台に達すると見ている。
今のところ地上波での放送予定はないが、現在のハイビジョン(2K)と画面画素数で比較すると、4Kテレビで4倍、8Kテレビでは16倍にもなり、実際に家電店で見るとそのきめ細かな画像に驚く。また8Kテレビの超高解像度映像では立体的な奥行きを感じるリアリティー向上も見逃せない。この立体感についてNHK放送技術研究所の実験では、高解像度になるほど脳の立体識別感が増す傾向を示している。
画質において十分満足できる4Kテレビは低価格化が進み、購入を考えている人も多いだろう。しかしテレビを買ったものの、12月から始まる4K・8K放送を見ることができない人も出てくるという。それは現在売られている「4Kテレビ」の他に「4K対応テレビ」という4Kチューナー非搭載テレビも販売されているからだ。また、4K放送の電波は現行のBS放送と同じ右旋円偏波(右旋)だが、WOWOWやスカパーの4K放送、そしてNHKのBS 8K放送では左旋円偏波(左旋)のため、専用アンテナ設備(増幅器、分岐・分配機、壁面端子等)が必要となる。
昨年9月、放送サービス高度化推進協会が行った調査によると、4K・8K放送の受信にチューナーが必要なことを知っている人は10.9%で、4Kテレビ購入者でも知っていた人は4割ほどだったという。この結果を見ても好調な販売を維持するには、総務省などが新聞・テレビ等で周知に努める必要があろう。(編集担当:久保田雄城)