上場目指す仮想通貨交換業者、大手の参入続く

2018年06月01日 06:24

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仮想通貨交換業者の中には上場を目指す業者も少なくない。上場のためのハードルは決して低くはないものの、仮想通貨という市場に対しての注目は依然として高い。

 仮想通貨の市場は現在拡大が続いている。相場が急騰、あるいは急落したりと、決して安定しているとは言い難い部分もあるが、良くも悪くも多くの利用者がいるということから仮想通貨への注目度は依然として高いものがある。こうした仮想通貨の市場拡大を受け、仮想通貨の交換業者が上場を目指すケースが相次いでいる。

 仮想通貨を語る上で常に話題にのぼるのが仮想通貨交換業者コインチェックの不正流出問題だろう。そのコインチェックは、2018年4月にネット証券マネックスグループに買収された。現在はマネックス傘下だが、そのマネックスの方針がコインチェックの上場である。上場企業に求められる資質というものもあるが、同時に社会的信用というものも決して小さなものではない。不正流出問題を起こしたコインチェックを上場させることで、失った信用を再び取り戻すとともに資本力を高めることがマネックスの目的といえるだろう。というのは、仮想通貨交換業者というのは、ただ単に仮想通貨の取引ができるというだけでなく、仮想通貨を仕入れて顧客に販売する側面も持っているためだ。コインチェックの場合はこの販売で多くの資金を稼いでいた。

 とはいえ、上場をしたいと思ってもすぐに上場ができるというわけではない。株式市場に上場するためには継続して事業を営み、安定した経営ができるということが重要な条件となっている。仮想通貨の場合、先述の通り不安定な相場という大きな特徴がある。仮想通貨交換業者の主な経営基盤は、この不安定な相場であることからその経営状況もまた不安定なものとならざるをえない。業績が好調だったとしても、その業績を安定して継続できるかどうかという点はかなり不透明な状態といえるだろう。

 仮想通貨を資金調達の手段として考える企業はマネックスだけではなく多くのIT企業が参入している。その中には上場を目指す企業も決して少なくないが、そのためのハードルは決して低くはない。安定した収益を得ることができるかどうかという点はもとより、仮想通貨業界全体に対するルールについてもまだ不完全だという見方が強い。仮想通貨を企業内でどのように扱うかという会計ルールについても未定なケースが多く、実態に即したルールの策定についてはまだ時間がかかりそうだ。

 それでも多くの大手企業が仮想通貨への参入を目指すケースは多い。いずれにしても多くの企業が仮想通貨という市場に対して注目しているということがよくわかる事例ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)