国内での仮想通貨の取引額が拡大している。利益を得ることを目的として仮想通貨に投資をしているという人も多く、2017年度の日本国内における仮想通貨の取引額はおよそ69兆円にも達したことがわかった。この金額の伸び率はわずか1年という短期間でおよそ20倍というから驚きだ。ここまで仮想通貨の取引が拡大した背景には、やはり長引く不況による将来への不安や、従来までとは異なる新たな投資スタイルを試してみたいといった心情的な要因も大きく関係しているといえるだろう。
なお、国内で取引される仮想通貨の中ではビットコインが9割を占めており、このことからも仮想通貨の中でも特にビットコインが高い人気を集めていることがわかる。確かにビットコインといえば仮想通貨の代名詞ともいえるものであり、仮想通貨のことはよく知らないという人であっても「ビットコイン」という名前ぐらいは聞いたことがある、という人も少なくない。また、実際に取引をしているという顧客の年齢層としては8割以上が20~40代となっているが、顧客の中には10代の投資家が多いのも仮想通貨の投資の特徴だ。
ただし、その反面この取引額の拡大には様々な課題もある。たとえば仮想通貨交換所における不正流出は仮想通貨における問題点の中でも代表的なものではないだろうか。仮想通貨で投資をしてみたいものの、その分で利益を出せるかどうか、ということ以前に安全な取引がそもそもできるのかどうかという不安も多い。もちろん投資である以上はある程度のリスクは必然ともいえるものであり、そのリスクなくして利益を得ることはできないとする考えもあるかもしれないが、何もかもが始まったばかりの仮想通貨では、これまでの投資におけるセオリーが通用するかどうかも手探りの状態だ。
そこで金融庁では、急拡大した仮想通貨の市場について規制強化の検討に入った。この規制強化については、仮想通貨は投資の対象として高い人気があることは認めつつも、業界そのものがまだ未成熟であるということもあり、投資者の保護が不十分との考えから、である。金融庁は有識者を集めた研究会を発足させ、制度を明確にし、仮想通貨投資に対するルール作りを徹底していく。
仮想通貨の市場はまだ成長途上の業界でもある。それだけに取引業者の中には管理が杜撰なところも少なくない。成長過程の業界であるだけに、できるだけ早い段階で最低限のルールをつくり、安全に投資できる環境を整備することが求められている。(編集担当:久保田雄城)