仮想通貨16社、業界団体設立

2018年05月07日 05:51

画・仮想通貨16社、業界団体設立

金融庁に登録している仮想通貨交換業者が加盟する新業界団体が発足した。業界全体で自主規制に取り組み、取引環境の整備を行うことが主な目的となる。

 投資目的で利用者が急増している仮想通貨は、法律などの環境整備ができる前に利用者が増加したことから様々なトラブルに発展するケースも少なくない。最も顕著な例では仮想通貨交換業者コインチェックの不正流出問題だ。こうした問題の発覚を契機として、他の業者もまたシステム上の不備が露呈したところが多く、規制を求める声が高まることとなった。そのため、仮想通貨業界全体の自主規制への取り組みを進めていく目的から、仮想通貨交換業者が加盟する業界団体が発足した。

 今回発足した仮想通貨交換業者による業界団体は「日本仮想通貨交換業協会」という名前であり、金融庁に登録されている仮想通貨交換業者16社すべてが加盟するというもの。協会の目的は先述の通り、仮想通貨業界全体の自主規制を促し、健全な取引環境を整備するという点にある。中でも特に重視したいのが顧客保護の部分だ。コインチェックの不正流出問題により、実際に取引を行う顧客間では仮想通貨に対する不信感や不安が高まり、業界全体の成長が停滞する事態を招くこととなった。そこで、顧客保護を徹底することで取引の活性化を進め仮想通貨業界全体の成長を促進することが狙いだ。

 それと共に新業界団体が目指すのは業者ごとの内部管理の徹底である。現在、日本国内における仮想通貨取引量は2017年度におよそ69兆円にも拡大しており、短期間で急成長を遂げたと言える状態にある。しかし、業界そのものが未成熟な状態での成長となったため仮想通貨交換業者による不正流出問題など様々なトラブルが発覚する要因ともなった。その結果金融庁は仮想通貨交換業者に対する監督を強化するとともに、仮想通貨交換業者そのものに対して内部管理の徹底を求めてきた。今回発足した新業界団体では、仮想通貨業界の信頼に関わる問題を起こした業者に対しては罰則規定を適用するといったルールづくりを進め、業界そのものの健全な発展を促していく考えだ。

 なお、今回の新団体には金融庁の登録業者が加盟したが、登録申請中の業者に対しては現在のところ具体的な連携案は出ていない。金融庁への登録が行われていない業者の場合、過去に行政処分を受けている等何らかの問題を起こしている可能性もあることから、連携については慎重な判断にならざるをえない。それとともに、業界全体の発展のためにはこうした業者ともしっかりと連携していくことが大切であることから、今後のルールづくり等のさらなる環境整備が求められる。(編集担当:久保田雄城)