IT業界といえばいつの世も人手不足の状態が続いている。そのため、少ない人数で多くの業務を実行する必要性が高く、IT業界の現場では様々な問題が起こっている。そして、人手不足による問題はそのまま作業の効率性にも影響することとなる。こうした人手不足は、IT業界に限ったことではなくどの業界でも起こりうることではあるのだが、とりわけ関西のIT業界を中心に技術者が不足しているという。一体何が起こっているのだろうか。
現代社会は、インターネットなくしてはもはや成立することができない所まで来ている。ほとんどの人がスマホを持ち常にインターネットに接続するような社会では、それを支える技術者もまた重要性が高いことは言うまでもない。しかし、こうした技術者というのはかなり専門性が高く誰もができる仕事というわけではない。つまり、誰もが必要とするものの、誰もができる仕事ではない技術者が支えているのだ。中でも関西はIT企業の大手が採用を進めている土地ということもあり、関西ではまさに優秀な人材の取り合いが続いている。
たとえばヤフー<4689>は、昨年秋に大阪にある開発拠点を拡張し年間に40~50人を採用していく方針を発表した。また、無料通信アプリを開発するLINE<3938>も関西に開発拠点を設け、100人規模で採用する予定だという。その背景にあるのは、東京では人災を確保することが難しいというものだ。人手不足の現在では優秀な人材というのは常に争奪戦の様相を呈している。その競争は関東から関西に移りつつあるということだろう。IT技術の進歩に伴い、離れた拠点であってもリアルタイムで打ち合わせなどができる現代では、必ずしも東京で採用活動をする必要はないということかもしれない。
技術者の争奪戦が続いているということを表すデータには、リクルートキャリアの調査によるIT技術者の転職求人倍率が2018年4月で3.61倍というものがある。これは、他の職種の平均値が1.78倍であることを考えるとかなり高い倍率だ。さらにこれが関西に限定すれば3.65倍という倍率になるため、IT企業が技術者を確保することが難しいという状態が見て取れる。さらに経済産業省の調査では、IT技術者の人材不足は今後も加速していく見通しだという。IT技術が進歩しても、それを扱う技術者がいなければ競争力も低下していくことは言うまでもない。将来的な技術者不足に今から備えておく必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)