復興庁は1日、「平成29年度復興人材の確保及び運用に関する調査」の結果を公表した。東日本大震災から7年が経過したが、被災地域の岩手県、宮城県、福島県では住宅再建・復興まちづくり事業を中心とした復旧・復興事業がピーク状況にある。
これに加え産業の再生や被災住民の健康問題やメンタル面での保健など復興のステージは新たな局面に入りこれに対応して行く必要にせまられている。2020年度末の復興期間終了に向け復興の取り組みを加速させ着実なものとする上でも人材確保の問題が大きな課題となっている。
これまで被災自治体の不足人員に対しては全国の自治体からの職員派遣で多くが賄われてきた。しかし、16年の熊本地震や17年の九州北部豪雨など、他の地域においても大規模な自然災害が発生していることから全国自治体から東北地域に派遣される職員数は減少傾向にある。
18年3月1日現在、東北被災3県の自治体での必要人員は2715人であるのに対し、何らかのスキームで確保された人員は2512人で、充足率は92.5%となっている。時系列で見ると14年度が89.6%、15年度が89.8%、16年度が91.4%、17年度が92.5%と増加傾向であるものの未だ203人の不足が生じている状況である。
全国自治体からの自治法派遣による職員数は15年度の1594人をピークに減少傾向となり、17年度には1298人まで減少した。これを補うかたちで被災自治体による任期付職員の採用が年々増加し、15年度に547人であったものが17年度には821人となっている。
任期付職員は法律上の期間の上限が5年と定められており、既に上限期間に達する職員も出てきている。当該職員本人に対するヒアリングでは、引き続き同自治体職員として職務継続を希望する者が7割に達しており、制度上の調整が急がれる。またこれに加え復興業務担当の任期の定めのない正規職員の採用も15年度の161人から17年度の290人と増加傾向にある。
必要とされる職種は土木、建築、電気、機械、農業、保健師、看護師、埋蔵文化財、一般事務など多岐にわたっている。自治体によってバラツキはあるが、岩手県では土木、建築などの技術職の必要数は15年度をピークに減少傾向になり、かわって看護師、保育士、司書などの必要数、確保数の割合が増加傾向にある。
復興事業の伸展に伴い、復興のステージがハード事業中心から徐々に被災者支援などのソフト面の業務に移ってきていることが伺え、人材確保面でも復興ステージに応じた対応が求められている。(編集担当:久保田雄城)