若者の酒離れが顕著であるなどと言われている。しかし、各種調査を見ると酒離れは若者だけでなく日本人全体の傾向なようである。好まれるアルコール度数も低アルコール志向に変化している傾向が見られる。また、2017年の酒税法改正によってビールの過度な値引きに関し規制が強化されるとともに税法上のビールの定義が拡大されるなど酒類のマーケットは大きく変化している。
8日、TPCマーケティングリサーチが酒類のマーケットの動向について調査結果を発表した。調査結果によれば、日本人の低アルコール志向を反映するかのように、17 年度の低アルコール飲料市場は、金額、数量ベースともに2桁前後の成長となっている。
17年度の低アルコール飲料の市場規模は金額ベースで2839億円、前年比8.9%の高い増加となっている。数量ベースでも1億8000万ケースとなり、前年比で10.1%の高い増加で、金額ベースと数量ベースの双方で2桁前後の高い伸びで拡大している。低アルコール飲料のマーケットでは、酒税法改正による値引き規制強化の影響で店頭価格が上昇したビール類からの流出した需要を多様なニーズに対応した品揃えなどによって若者世代を中心とした需要を取り込んだ形となった。
数量ベースでメーカーのシェアを見てみると、サントリーホールディングスがシェア40.1%でトップとなっており、次いでキリンビールが29.4%と続き、この上位2社で約7割を占めていることになる。以下、アサヒビールが12.7%、宝酒造が11.5%で、この4社が10%以上のシェアを占めている。
上記大手4社の販売数量とその伸び率は、サントリーホールディングスが7210 万ケースで前年比9.9%の増加、キリンビールが5290 万ケースで8.4%の増加、アサヒビールが 2278万ケースで7.5%の増加、宝酒造が2063万ケースで13.0%の増加と全てのメーカーで増加となった。
一方、ウイスキー市場では、金額ベースが1147億円で前年比13.1%の増加、数量ベースは16万2736キロリットルで9.0%の増加と、やはり高い伸び率となっている。同市場は若者層を中心としたハイボール人気によって顧客層の裾野が広がりを見せているようだ。
現在、酒類市場では各社が活発に新商品投入で需要喚起をはかっており、成長カテゴリーの需要を巡る動きがさらに激しくなっていくと見込まれ、18年度も高い成長率が達成される見通しだ。(編集担当:久保田雄城)