ルノー・日産・三菱連合が最高のシナジー効果達成、一方で燃料電池車を断念

2018年06月17日 17:43

Renault-Nissan-Mitsubishi

2017年に3社連合で合わせて1060万台以上を販売し、大きなシナジー効果を上げた。が、一方でFCV市販化計画断念

 日産自動車が2017年度の決算で、7469億円の最高益を記録した。それとは別に、ルノー・日産・三菱自のアライアンスが、2017年度のアライアンスのシナジーが昨年度の50億ユーロから14%増加し、これまで最高の57億ユーロに達したと発表。ルノー、日産、三菱自動車は、世界最大の自動車アライアンスとして、売上を増加させ、コスト削減、コスト回避策を実行した。

 このシナジーは、2017年に3社合わせて1060万台以上を販売し、乗用車および小型商用車(LCV)の販売台数で世界最大規模となった。ルノー・日産・三菱自連合のスケールメリットを反映した恰好となったわけだ。

 生産面では、ダットサン「redi-GO(レディー・ゴー)」やルノー「Kwid(クウィッド)」など共通プラットフォームを採用した車両生産や、日産のメキシコ・クエルナバカ工場およびスペイン・バルセロナ工場におけるルノー「アラスカン」の生産により高いシナジー効果があらわれ、日産と三菱自動車はタイで、工場から販売店への完成車の共同輸送を開始し、車両輸送コストを大幅に削減した。

 2017年に新設したLCV事業部門も相互開発・生産を最大活用し、日産が開発した1トンピックアップトラックのプラットフォームをルノーおよびダイムラーが採用するなどで、コストや車両技術において連合効果を上げた。これにより、アライアンスが販売するLCVはルノー、日産、三菱自動車の3ブランド合わせて18車種となり、LCV販売を77%拡大した。

 ルノー・日産連合は既に20年が経過し、アライアンスの会長兼CEOであるカルロス・ゴーン氏によると、今後の数年でさらにシナジー効果を上げて、2022年度末までに100億ユーロ以上のシナジーを目標とするとしている。

 中期計画「アライアンス2022」において、メンバー3社は、計画終了時にグローバルで年間1400万台以上の販売を見込み、そのうち900万台は電気自動車(EV)及びルノー・ルーテシアや日産ノートなどBセグメントのコンパクトクラス車を含む4つの共通プラットフォームで生産する計画だ。また、全販売車種が搭載するパワートレインの共有率を現在の3分の1から75%まで拡大させるという。

 以上のような機能統合が深化して、シナジーが増加することにより、アライアンスの長期的な持続可能性はより強固なものとなる。

 一方、報道によると、ルノー・日産連合は、独ダイムラーや米フォードと共同で研究開発している燃料電池車(FCV)の商用化計画を凍結する方針を固めた。今後も3陣営の協力は続けるが、次世代環境対応車の開発は普及が進む電気自動車(EV)などに集中する。

 日米欧の3陣営は2013年にFCVの共同開発で提携した。燃料電池システムや部品の規格を統一して開発コストを減らし、2017年にも量販車を発売する方針だった。しかし、各社はFCVの研究を続けるが、次世代車環境対応車のトレンドがEVになりつつあり、ルノー・日産連合はFCVの量販車商用化計画を凍結する。

 仏政府のルノー・日産・三菱連合に対する影響力が不透明感を増しており、ポスト・ゴーンを睨んだ連合の動きが大きなポイントになりそうだ。(編集担当:吉田恒)