メドピアが会員医師を対象に、「薬剤処方時に薬価を考慮するか」についてのアンケート調査を実施。最多回答は「考慮することもある」で46.9%。次いで「大いに考慮する」が23.8%。医師の7割が薬価を考慮して処方。
高齢化の進展とともに社会保障関係費は膨張の一途だ。中でも医療費は社会保障費を増大させる主要な要因であり、その医療費の中でも薬価の問題は医療費膨張の主要因としてこれまで何度も制度の見直しが行われてきた。
厚労省は医療費抑制の手段として後発医薬品、いわゆるジェネリック薬品の処方促進を推し進めている。ジェネリック薬品の医療費削減効果には様々な意見もあるが、単純に考えて後発品の方がより薬価が安くなるのは当然で、一定の効果があることは間違いないであろう。医療現場で薬の処方を担当する医師たちは薬価に関しどのような意識を持っているであろうか。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピア株式会社が会員医師3000人を対象に薬剤処方時の薬価に関するアンケート調査を実施した。調査結果によれば、「薬剤処方時に薬価を考慮するか」という問いに対して「考慮することもある」と答えた者が46.9%で最も多かった。次いで「大いに考慮する」が23.8%で、両者を合わせると70.7%の医師が少なからず薬価を意識して薬を処方していることになる。この他、「あまり考慮しない」が15.5%、「どちらとも言えない」が9.8%、「全く考慮しない」が4.0%となっている。
最も回答の多かった「考慮することもある」での自由記述をみると、薬価を考慮するケースとして「患者の経済状況や意向によって意識する」、「高額な薬剤を処方する時は考慮する」、「同じ効果なら薬価の安い方を選ぶ」など安い薬価の薬を優先して処方していることがうかがえる。
次に多かった「大いに考慮する」と回答した医師の声としては「患者の経済負担を減らすため」とともに「医療費削減のため」という意見も見られ、政府の狙いである医療費削減を強く意識している者が多いようである。「あまり考慮しない」と回答した医師からは「そもそも薬価を知らない、調べる時間がない」と薬価の考慮が医師の事務負担の増加につながっている実情も垣間見られる。
また「院外処方でジェネリック医薬品となれば、大きな差は出ませんが、同効薬内で時々考慮する」(40代、消化器内科)や「院外処方で、一般名の処方なので何とも言えない」(60代、耳鼻咽喉科)などの意見もあり、場合によっては医薬分業の中、薬価の考慮は薬局側の担当であるという意識もあるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)