厚労省が「医療施設動態調査(2018年1月末概数)」を公表。政府は在宅ケアを重視し、25年時点で病床数120万床程度を目標。前月比では病院で294床の増加、診療所では277床の減少。長期的には減少傾向。
2025年に団塊の世代が全員75歳以上になる。現在でも高齢化の中で老人医療費は膨張している。より効率的な医療提供体制を構築していく必要がある。政府は高度医療に偏った病床の機能を再編するとともに、慢性疾患の高齢患者に対しては在宅医療を推進し医療費抑制をはかる考えだ。
都道府県の「地域医療構想」では25年の必要病床数は17年次点の全国平均で11.6%の減少が推計され、なかには削減率30%を超す県もある。東京一局集中のなか、地方での人口の減少は著しい。人口当たりの基準から言えば必要病床数も大きく減少である。しかし地域医療の適正な配置を考えるとなかなか複雑なものもあり現場から困惑の声も聞かれる。
厚生労働省は23日、「医療施設動態調査、18年1月末概数」を公表した。調査結果によれば、1病院、一般診療所および歯科診療所を合わせた医療施設数の総数は17万9029施設で17年12月と比べ142施設減少した。
種類別に見ると、病院が8404施設で前月より3施設の減少、一般診療所が10万1837施設で前月より66施設の減少、両者の合計は11万238施設で前月より69施設の減少である。歯科診療所は6万8791施設で前月より73施設減少した。
病床数の総数は165万3561床で前月より17床の増加。種類別に見ると、病院が155万5386床で前月より294床の増加。一般診療所は9万8111床で前月より277床の減少。両者を合計は165万3497床で前月より17床の増加となっている。歯科診療所は64床で前月から変化はない。
前月比でみると1月時点の病床数は微増しているが、長期的には2000年以降の病床数は減少傾向を維持している。厚労省は25年目標に向けて都道府県知事の命令や勧告権限などを新設し規制を強化しているようだが、病院の病床数155万5386床のうち86万6347床、一般診療所の病床数9万8111床のうち7万2887床が民間の医療法人であるため近年に減少率が増加したという傾向は見られない。
この病床削減の目的には医療費削減という財政面からの目的と合意に基づく医療提供体制という医療倫理や社会福祉上の目的が混在しており、現場は困惑しているようだ。さらに強引な削減は行政と地元医師会との対立を生みかねないため都道府県もあまり積極的でないと聞く。住民を含めた関与者の合意の上で持続可能な地域医療体制が構築されていくことを望む。(編集担当:久保田雄城)