シニアコムが「高齢者の自動車運転」に関するアンケート調査を実施。50歳以上のシニアの運転免許証の所有率は77.1%。免許証の返納を考えている割合は36.6%。返納時期は75歳以上85歳未満が全体の6割。
FNNプライムの報道によれば、昨年1年間に起きた75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故の件数は418件で、全ての死亡事故に占める割合は12.9%にのぼる。相次ぐ高齢ドライバーによる事故に対して警察では大きく2つの対応を取っている。ひとつは「認知症対策」、もうひとつが「免許の自主返納」だ。
自主返納を促進するためバスやタクシーなどの公共交通機関の割引制度を設けるなど工夫をこらし、自主返納する者は順調に増加し、75歳以上で返納した者の数は昨年1年間では25万3937人で過去最多となっている。
それでは、シニアドライバー側の意識はどうであろうか。高齢者市場に特化したマーケティング業のシニアコムが50歳以上の男女を対象に「高齢者の自動車運転」に関するアンケート調査を実施した。
調査結果によれば「普通自動車の運転免許証をもっているか」という質問に対して、「はい」と答えた者の割合は全体の77.1%、「いいえ」と答えた割合は22.9%であった。50歳以上の男女の約8割が普通車免許を保持していることになる。
運転免許証を所有している者に「将来、運転免許証の返納を考えているか」と尋ねたところ、「考えている」が36.6%、「考えていない」が33.4%、「わからない」が30.0%とそれぞれ3分の1程度ずつに分かれた。運転免許証の返納を考えていると回答した者に、その理由を複数回答で尋ねたところ、「視力が衰えて夜間運転をするのが怖いため」が48.7%と最も多く、次いで「自分の運転能力に対して自信がないため」が48.0%、「とっさの判断が遅れるため」が46.0%の順になっており、この3つが4割を超え突出して多くなっている。
返納しない理由では、「買い物に行く際に車を使うから」が65.0%と最も多く、次いで「遊びに行く際に車を使うから」が56.9%で5割を超え、以下「荷物の運搬に車を使うから」45.3%、「家族の送り迎えに車を使うから」39.4%、「公共交通機関だと不便だから」38.0%、「通院に車を使うから」35.0%という順になっている。
この調査には出ていないが都市部と地方では事情が大きく異なるであろう。返納しない理由のトップにもなっているように地方では商業施設の配置等の問題により車無しでは生活は不可能だ。さらなる生活者の利便性に配慮した制度の拡充が必要ではないか。(編集担当:久保田雄城)