世界企業の98%がAI活用に着手。AI活用ビジョンの策定は16%

2018年05月30日 06:30

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アクセンチュアが世界6カ国、6業界における、年商5億ドル以上のメーカー500社の上級役職者を対象にAI活用に関する調査を実施。企業の98%がAIを活用した製品改善に着手。AIビジョン策定は16%のみ。

 AIやビッグデータなど新しいIT技術による産業・社会の劇的な変革をダボス会議は第四次産業革命と呼んでいる。これは例えて言えば蒸気船からジェット機への変化のような歴史的変革がより短期間に大規模に生じるようなものといえる。そしてこの第四次産業革命は既に始まっている現象だ。グローバルITコンサルタントのアクセンチュアの最新レポートによれば、既に世界主要国の大半のメーカー企業が製品・サービスの質的転換を図るためAIの活用に取り組んでいる。

 アクセンチュアは米国、日本、中国、フランス、ドイツ、イタリアの世界6カ国、自動車、トラック、自動車部品、産業/電気機器、重機、耐久消費財の6業界のメーカー企業500社を対象にAI活用に関する調査を実施した。

 調査結果によれば、調査対象企業の98%が既にAIを活用した製品・サービスの改善に着手し始めている。しかし、AI活用に関する全体ビジョンを定義している企業は未だ16%にすぎない。さらに、AIを組み込んだ開発資源を製品に投入している企業はわずか5%足らずで、AIソリューションを企業全体に活用している企業の割合はわずか2%だけだ。

 AI活用を試みる企業が直面する課題としては、「データ品質」が51%と最も多く、「データ セキュリティとサイバー セキュリティ」が45%、「AI組み込み型ソリューションを買うか作るかの判断」が45%、「データ共有と知的財産の保護」40%などが挙げられている。現況はあくまでも準備的段階でビジネスモデル全体への実践的適用までには至っていないようだ。

 また、業種によっても取り組み方に違いがでてくる。自動車業界では65%の企業が「収益源の転換」を最優先事項に挙げ、産業機器業界では分野によって最優先事項のバラツキが大きく、重機メーカーは「製品ライフサイクルを踏まえた販売・マーケティング戦略」を挙げる企業が57%であるのに対し、産業機器・電気機器メーカーでは「AI活用によるイノベーション構造の変化への対応」を42%の企業が挙げている。

 アクセンチュアのシニア・マネジング・ディレクターのE・シェイファー氏は「AIを活用して産業向け製品を再定義する取り組みはまだ始まったばかりで、状況を把握することは容易ではない。しかし、成功事例を見る限り、こうした取り組みは大きな効果が期待でき、強力なビジネスケースになる」。(編集担当:久保田雄城)