フィンテック市場規模、12.5%増。大手町や兜町など産業拠点が中核

2018年07月11日 06:23

画・フィンテック市場規模、12.5%増。大手町や兜町など産業拠点が中核

矢野経済研究所が国内フィンテック市場に関する調査の結果を発表。2017年度の国内フィンテック市場規模は前年度比12.5%増の1兆184億円。大手町や兜町などフィンテック産業拠点のオープンが相次いだ影響。

 矢野経済研究所が国内フィンテック市場に関する調査の結果を公表した。フィンテックとはフィナンシャル(金融)とITテクノロジーの合成語であるが、2017年度の国内フィンテック市場の規模は売上高ベースで前年度比12.5%増の1兆184億円と推計されている。

 フィンテック市場の更なる市場拡大のためには銀行APIを介した連携やサンドボックスなどの積極活用がカギとなる。現在、官民を挙げて法律的・技術的・物理的環境の整備が推し進められているが、業界の取り組みとしては銀行法の改正にあわせ全金融機関が本年3月までに「電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針」を打ち出している。政府はプロジェクト型の「規制のサンドボックス」を創設し、届け出制による期限付きの規制保留を認め、AIやブロックチェーンを視野に迅速かつ大規模な実証実験を進める環境を整備している。

 技術的な環境整備としては、銀行は既にクラウド、モバイルの普及を受けて外部アプリとの機能連携を可能とするプラットフォームを共有するためAPI公開方針を明確にしている。今後、この方針に沿って20年度に向けて各金融機関はAPIの接続に関する体制の整備や接続基準などを決めていくこととなる。その過程でAPIの公開に即したビジネスモデルの構築が進められ、銀行とベンチャー企業の連携が模索される中で新たなIT投資を誘発する可能性が大きい。

 16年から17年にかけて大手町や兜町などを中心に、都内のフィンテック産業拠点のリニューアルオープンや新規オープンが相次いだ。これらの施設では私的な会合形式のビジネスマッチングであるミートアップを積極的に開催し、また海外フィンテック拠点とのパートナーシップ締結を推し進めフィンテック系ベンチャー企業のグローバル進出を支援するなどといった形でその機能を強化しつつある。

 現状ではサンドボックスの活用などによる実験的な段階でベンチャーが領域ごとに区分けされている様相だが、実験が実践レベルへと移行して行くにつれて領域ごとの協業が始まり、領域間での融合が行われ市場はさらに拡大すると予測される。レポートでは「こうした官民一体となった支援体制の積極的な活用により、2021 年度の国内フィンテック市場規模は1兆8590億円に達すると予測」している。(編集担当:久保田雄城)