キャッシュレスの推進に向けて官民一体協議会設立へ

2018年04月23日 07:11

画・キャッシュレスの推進に向けて官民一体協議会設立へ

世界的にキャッシュレス化が遅れている日本で、経済産業省はキャッシュレス化を推進するための協議会設立の検討に入った。銀行をはじめ様々な金融業界からの参加が見込まれている。

キャッシュレスとは、その名の通り現金を使わずに取引を行うことをいう。現金を使わない取引の代表的なものといえるのがクレジットカードを利用しての決済だが、実は日本は現金を使わないキャッシュレス取引が世界的に見ても普及していない国といわれている。こうした現状を受けて、経済産業省ではキャッシュレスを推進することを目的とした官民一体の協議会を設立することを検討している。

 経済産業省がキャッシュレスを推進している背景には、2020年に控えた東京オリンピックが関係している。冒頭で説明した通り、日本という国は世界的に見ても現金決済が多い国であり、クレジットカードを利用しての取引はまだまだ決して多いとはいえない。日本以外の国ではキャッシュレス化が進んでおり、たとえばスウェーデンでは現金の使用率はわずか2%ということから、海外の人々にとってはクレジットカードによる決済はある意味常識となっているといえるだろう。東京オリンピックによって海外からの観光客が多数日本に入ってくることを考えると、それまでに世界的に常識となりつつあるキャッシュレス化を進めておきたいというのが経済産業省の構想である。
 
 経済産業省が設立を検討しているキャッシュレス化の協議会は、全国銀行協会に参加を呼びかけている。実際に「商品」として現金を取り扱う銀行の協力なくしてキャッシュレスの推進は難しいというところだが、この協議会では銀行の他にもクレジットカード業界や、フィンテック業界なども参加が見込まれている。フィンテックとはIT技術を利用した新たな金融商品のことであり、こうした業界も加わることでまさに官民一体となってキャッシュレス社会を推進しようとしていることがわかる。

 日本が将来的にキャッシュレス社会となった場合、銀行をはじめとする金融機関はもとより、商業施設なども現金を取り扱う手間を省略することができ、現金を手元に置く必要がないことから防犯面などのメリットも大きい。また、コスト削減にもつながり、経済効果も高いということから経済の活性化にも期待ができるという。東京オリンピックはひとつのきっかけではあるものの、決して東京オリンピックのためだけにキャッシュレス社会を実現するのではなく、今後の長期的な経済発展を見据えた方策といえるだろう。

 ただし、キャッシュレス社会の実現には様々なハードルがある。これまで現金でしか支払をしたことがないという人も日本には多数存在するため、こうした人たちに対して理解を促すことは容易なことではない。ましてや東京オリンピックまで、となれば時間も設備も少なすぎるのではないかの意見もある。経済の発展という意味ではキャッシュレス社会は必要なことかもしれないが、決済手段が変わるということで慎重な協議が必要だ。(編集担当:久保田雄城)