ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2018が示す、オープンイノベーションの可能性

2018年07月22日 12:14

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ロームグループが提供する最先端デバイスを使用したものづくりのプロトタイプ作品コンペ「ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2018」。写真は昨年度グランプリ作品「ダンナダッシュ」。

京都の半導体・電子部品メーカー・ロームが主催する「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」の募集が今年も始まり、話題になっている。

 ROHM OPEN HACK CHALLENGEは、2016年にロームが同社のセンサやマイコンボード、無線通信モジュールなどのデバイスを使用したアイデアを募集するコンテストとしてスタートさせたものだが、3回目となる今年はアイデアだけに留まらず、プロトタイプ作品を募集するコンテストへと大きく変容を遂げている。

 過去2回のROHM OPEN HACK CHALLENGEでは、それぞれ100を超えるアイデア作品がエントリーされ、その多彩なアイデアと、それらが示す可能性が大いに反響を呼んだ。

 最先端デバイスを利用したアイデアコンテストといえば、専門的なお堅いモノをイメージしてしまう人も多いと思う。しかし、昨年度のグランプリを獲得したのは、チーム「つくるラボ」による「ダンナダッシュ」という作品だった。

 ネーミングから非常にユニークだが、そのアイデアはもっとユニークだ。同作品は、電池不要のEnOceanで稼動する「ダンナダッシュボタン」を押すと 、Lazuriteを利用した「中継ユニット」が、ダンナ(人)の持つ「ダッシュキーホルダー」にSub-GHzといわれる低消費長距離無線で信号を送信する。信号を受信した「ダッシュキーホルダー」は妻の御要望をLEDの点灯でお知らせし、ボタン一つで買い物を依頼することができるというプロダクトだ。早い話、ダンナをパシらせるための、とんでもないボタンなのだ。

 昨年のコンテスト会場を大きな笑いで包んだこのアイデアは、もちろん面白さだけでグランプリを獲得したわけではない。最先端のデバイスをシンプルかつ効率的に利用した構成で、拡張性があり、旦那様だけでなく、設定次第で様々な人々にメッセージを送ることができる。高齢者の買い物や子供の見守りなど、様々な用途への展開が期待できると評価された結果だ。

 コンテスト参加者の中には、そのプロダクトの事業化を本気で目指しているチームも多く、応募作品のクオリティーも高い。そして今年度からは日本最大級の開発/ハードウェアコンテスト「Mash up Award2018」や「GUGEN2018」との連携も発表している。最優秀賞に選ばれた中の1作品は、GUGEN2018の展示会・授賞式に出展する権利が提供されるので、商品化や事業化を目指すチームにとっては嬉しい副賞となるのではないだろうか。

 さらにロームは応募者に対して、プロトタイプ開発部品の支給やエンジニアによる制作サポートを行うことを明言しており、デバイス提供申請期間は8月10日(金)まで、作品応募は8月20日(月)まで受け付けている。とくに優秀作品については、「CEATEC 2018」などの同社が出展する国内外の各種展示会への出品機会も積極的に提供していくとしている。

 近年、IoTが話題となっているが、専門家だけが閉じた環境の中だけで考えるのではなく、ROHM OPEN HACK CHALLENGEのようなオープンな環境の下で様々なクリエイターやエンジニアがつながり、拡がり、刺激し合うことで、今までになかった新しい価値が想像されるのではないだろうか。人々のくらしをより快適にしたり、便利にしたりする最先端のアイデアは、実はアナログなつながりの中にこそあるのかもしれない。(編集担当:松田渡)