ロームから発表されたE17口金のミニクリプトン形電球型LEDは、業界最高クラスの配光角180度を実現、温かみのある光が全方向に均一に広がることで、周辺部分が暗く見えるというLED特有の弱点を克服している。
東日本大震災に伴う節電・節エネルギーの高まりを受け、一般家庭に置いても高効率照明への切り替えが進み、矢野経済研究所によると、2011年の照明総市場規模は2010年比106.7%の8013億円に拡大するものと見込まれている。中でも一般照明用途のLED照明の市場規模は2010年比185.7%の1393億円と大きく拡大する見込み。また富士経済によると、照明器具全体におけるLED照明器具のシェアは、金額ベースで13.9%となり、2010年の4.9%から大幅に増加している。
2010年から2011年にかけて、直管形LEDランプやLEDシーリングライトの発売が大きな話題を集めた。これらは主照明として用いられるもので、蛍光ランプを代替するものも次々と発売されており、既存光源のほとんどをLEDに代替出来るようになってきた。これらLED照明が注目を浴びることになった契機は、2009年頃から、照明メーカーや新規参入事業者から電球型のLEDランプが相次いで発売されたことであろう。発売当初は5000円以上した製品が、近頃では1000から2000円台と安価になってきたこともあり、LED照明器具の70%以上を占める白熱灯代替形では前年比3.6倍と大幅に伸びている。
電球型LEDの主流はE26口金のもので、市場でも広配光タイプが支持を得ており、白熱電球と置き換えても問題なく使用できるものが増えてきている。しかし小型のミニクリプトン形は、電源部の小型化など課題も多く、各社E17口金のミニクリプトン形のLED電球を商品化しているものの、一般的に普及しているとは言えない状況にある。今後さらなる市場拡大を実現するためには、この壁を乗り越えることが重要となってくると考えられている。
現在、東芝やパナソニック、日立などがラインアップを増やしているが、直下型など、用途を特化させたものにとどまっている。そのような中、ロームから広配光のE17口金のミニクリプトン形LED電球の発売が発表された。この製品は、技術的に難しいとされる、配光角を広げかつ光の質を高めるという点を克服。従来のミニクリプトン形の角度は約120度と言われるなかで、電源ICやモジュールを内製できる部品メーカーの強みを活かし、業界最高クラスの配光角180度を実現した。また、グローブ(発行面)の大型化により、周辺部分が暗く見えるというLED特有の弱点を克服し、温かみのある光が全方向に均一に広がるという。
LED照明は大きなシェアを占める蛍光ランプを代替する製品になりつつあることで、その拡大は今後も当面続いていくものと推測。技術の進歩で確実に数々の壁を乗り越えてきている。今後各社からさらに多種多様な製品が開発されると、今以上に手が届きやすい価格帯も可能だ。身の回りにある照明において、LED以外の選択肢が考えられないような生活が近付いているのかもしれない。