富士キメラ総研が手術支援ロボットの市場調査の結果を公表。手術支援ロボットの市場規模は2018年見込み64億円で前年比107%。各医療機器・システム・サービスの高度化によりAI・IoT・5Gが本格活用へ。
AI、IoT、ビッグデータ処理の発展普及で社会は予想できないほど大きく変わると言われている。多くの職種がAI制御の機械に代替され多数の人々の職が失われる可能性も懸念されている。しかし、各種調査をみると、多くの人々はAI化を不安面より社会をより良くするものとしてポジティブに捉えているようだ。
ほとんどの職種で高度なスキルを持っている者は少数派だ。AI技術がその高いスキルをより一般化させることは間違いない。1970年代に登場したCTスキャン技術は医師達の診断技術を格段に向上させた。AI、IoT技術による手術支援ロボットの登場は高度な手術スキルを全般化させることは確実だ。
16日、富士キメラ総研が手術支援ロボットの市場を調査した結果を公表している。レポートによれば、国内メディカルソリューション市場は診療報酬改定を契機として、遠隔医療関連システム、同サービスが伸長し、さらに医用画像機器の需要増加やAI・IoT活用のハイエンドモデルへの移行、クラウド型電子カルテシステムの普及、「インテリジェント手術室」の需要拡大を背景とする映像機器を活用した手術室関連機器・システムの需要増加などにより拡大している。
今後は各医療機器・システム・サービスが高度化しAIやIoT、5G(第5世代移動通信システム)が本格的に活用されてゆく見込みだ。
市場規模をみると、「手術支援ロボット」市場の2018年の見込みは64億円で前年比106.7%となっている。レポートでは23年における市場規模を140億円と予測し、対17年比率は2.3倍にまで達するとみている。手術支援ロボットはロボット操作タイプの製品が大手の医療機関を中心に拡大してきた。今後は内視鏡把持タイプとロボット操作タイプの製品の開発が進むと見込まれている。
「遠隔医療関連システム・サービス」市場の18年の市場規模は133億円と見込まれ、対前年比は110.8%となっている。23年の市場規模は251億円になると予測され、対17年比では2.1倍になる。「遠隔医療関連システム・サービス」は遠隔診療サービス、遠隔医療向け会議システム、遠隔画像診断サービス、遠隔病理診断システム、遠隔医療機器保守サービスを対象としている。
政府は医療費抑制を基本方針としているが、IT化を推進するよう適切な予算配分によって医療の質と生産性の向上が実現されることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)