世界の電気自動車(EV)に大きく影響する、充電システムに大きな変化が起きそうだ。
EV運用の要として、国内における急速充電規格普及団体の「CHAdeMO(チャデモ)協議会」は、中国の業界団体「中国電力企業連合会」と次世代規格を統一することで合意。2020年を目途に10分以内で充電可能な急速充電器の共同開発を目指すという。
そのCHAdeMO協議会は、2010年に最初の規格を発表。これまでに国内約50メーカーのおよそ230機種の急速充電器を認証している。
これまで、EV向けの充電規格は、欧州&インドのCombo(コンボ)陣営、日本のCHAdeMO、中国のGB/T方式が覇権を競ってきたが、日中が手を結ぶことでCHAdeMOのシェアが一気に拡大する。もともと中国が推進してきたGB/T方式は、実はCHAdeMOとシステムおよび通信方式がまったく同じで、数100円相当のプラグ(差し込み口)さえ替えればそのまま使える。これはGB/Tが、チャデモの技術支援を受けて開発されたためだ。
現在、グローバル市場では最大出力50kWの急速充電器が普及している。メーカー各社は一度の充電で走れる走行距離を伸ばすために駆動用車載電池の容量を増やしつつある。そこで日本ではCHAdeMO規格が150kW程度の充電器を普及させている。それを日中共同で500kW以上の充電器開発を目指す。
VWなど欧米メーカーが推進する急速充電規格「Combo」も車載電池の大容量化に対応するための大出力化を検討している。日本がEV向けの急速充電器で中国と手を結ぶこととしたのは、中国の巨大なEV市場を取り込むことで、充電器のデファクトスタンダードを目指す近道と判断したからだろう。(編集担当:吉田恒)