前方を走行する車に対し進路を譲るよう強要する、いわゆる「あおり運転」への取締りが強化されている。2017年に東名高速道路で起こったあおり運転に関連する死亡事故をきっかけとして、警視庁は罰則を強化し、ヘリコプターなどを用いた取締りに力を入れる方針だ。
17年の死亡事故は、あおり運転をしたうえで被害者の車を高速道路上に停止させたところ、後続のトラックが被害者の車に突っ込んで起こったものだ。あおり運転がいかに危険かが明らかになった事故であった。それと共に、いかにあおり運転が日常的に行われているか、いかに悪質かが認識される契機にもなったのだ。あおり運転には後ろから車間を詰める、ハイビームやクラクションで威嚇する、猛スピードで追い回すといった行為が該当が、中には追い抜きざまに物を投げたり、悪態をついたりする悪質な行為もある。17年の死亡事故以外にもあおり運転を受けたドライバーが事故に遭うケースも出たため、警視庁は罰則の強化に踏み切った。
これまでの道路交通法では、車間を詰めるあおり運転については「車間距離不保持」の違反で一般道では交通違反点数1点、高速道路では2点が累積されることになっていたが、ハイビームやクラクションなどによる威嚇は取り締まることが困難であった。しかし罰則の強化により、「危険性帯有者」と判断された場合には累積点数に関わりなく最長で180日間の免許停止処分が課せられることとなる。各都道府県警では地域によってヘリコプターによる取り締まりも行うなど、あおり運転撲滅に注力する方針だ。
あおり運転から身を守るためにはドライバー各自も注意を払う必要がある。ドライブレコーダーを取り付けること、あおり運転を受けても無視し続けることなどはその一例だ。なおあおり運転によって停止させられたり、相手が威圧的な態度を取る場合には車から出ずに警察に通報するのが得策だ。あおり運転をするのは言語道断だが、受けた場合も賢い対応が求められるだろう。(編集担当:久保田雄城)