最近行われた調査では、2017年に単身で無職の世帯が過去最多になったことが分かった。国が行っている統計や政策の多くは夫婦に2人の子どもがいる4人世帯を想定しているが、現実は4人世帯よりも単身・無職世帯の方が多くなっている。近年急速に変化する「世帯」の姿がを直視し、政策に反映していくことが重要だ。
多くの単身・無職世帯を構成しているのは、高齢者層だ。厚生労働省が17年に行った国民生活基礎調査では、65歳以上の人がいる世帯の中で、高齢者が一人だけで住んでいる世帯の割合は26.4パーセントだった。つまり4世帯に1世帯は高齢者の単身・無職世帯ということになる。さらに高齢者の夫婦のみの世帯を合わせると、その割合は58.9パーセントとなり、実に高齢者のいる世帯の約6割が高齢者のみで構成されているのだ。
単身・無職世帯の多くは高齢者だが、職についている単身世帯を構成しているのは、高齢者だけではない。中年層でも単身世帯は増え続けている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、40年には全世帯の約4割が単身世帯になるとのことだ。この大きな要因は未婚率と離婚率の上昇だ。 男性は4人に1人が生涯1度も結婚したことがなく、女性も約14パーセントは生涯独身だ。加えて離婚率も3割を超え、3組に1組の夫婦が離婚する計算となる。離婚や配偶者との死別によってさらに単身世帯は増加していく。当然これらの単身世帯が高齢者になった時には、単身・無職世帯へと変化していくのだ。
こうした現状を考えれば、現在の4人家族を世帯と想定している国の調査や政策に変更が必要であることはもはや明らかと言えるだろう。単身・無職世帯が増加すれば、孤独死や医療の問題は増え続けていく。国であれ企業であれ、子育て支援に力を注ぐだけでなく単身・無職世帯に注意を向ける時が来ているのだ。今後は高齢化社会とそれに伴う世帯の変化に合わせて、政策を練り直していくことが必要となる。(編集担当:久保田雄城)